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日中友好新聞

2013年2月15日号1面
新資料を世界初公開
特別展「書聖 王羲之」

 特別展「書聖 王羲之」が3月3日(日)まで東京上野の東京国立博物館平成館で開催されています。
 鑑定の結果、王羲之の書を元にしたとされる新発見の資料も紹介するなど、展示室の壁一面に並ぶ書はまさに圧巻。展示作品数は163点と、見ごたえある展示となっています。(編集部)

 

 新発見されたこの書は、日本国内の個人の所蔵物で「王羲之尺牘 大報帖」といい、今回の展覧会に関わる、作品調査により、王羲之の字姿を伝える唐時代の精巧な摸本であることが判明しました。
 これは「妹至帖」以来、40年ぶりに発見された王羲之の新資料で、世界初公開となります。
 本作品は、手紙の一部とされ、縦26cm、横10cm余りの紙に3行、24文字で「私は日々疲れております。あなたのために、日々を過ごしています」などの内容が記されています。
 東京国立博物館列品管理課の富田淳課長らは、「遣唐使が唐から持ち帰ったとみられる極めて貴重な資料」と、語っています。

 

王羲之とその業績

 

写真1 日本中国友好協会

特別展「書聖 王羲之」チラシ


 4世紀の東晋時代に活躍した王羲之。書を芸術に高めたとして「書聖」と称され、現代でも学校の教科書で書道の手本とされるほど大きな影響を与え続けています。
 しかし、実際に本人が書いた、いわゆる「真筆」は戦乱などによりすべて失われ、模写や複製されたものしか残っていません。
 「王羲之尺牘 大報帖」は、東京国立博物館などの専門家が鑑定した結果、双鉤◆墨(全体の輪郭をとり、内側に髪の毛ほどの線を重ねるという、手間暇をかけた複製。◆=「土」編に「眞」)の技法で書かれていることや、王羲之の一族と見られる人名が書かれていること、「喪乱帖」「孔侍中帖」「妹至帖」と同様の、折り目のような筋が縦に入った「縦簾紙」という紙を使っていることなどが決め手となり、王羲之の書を元にした資料だと判断しました。

 

選りすぐりの名品がズラリ

 

 双鉤◆墨(◆=「土」編に「眞」)の技法による作品は、現在10点ほどしか確認されていない貴重なものです。本展覧会では、それらの中から選りすぐりの名品「行穣帖」(プリンストン大学付属美術館蔵)や「喪乱帖」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、国宝(日本)「孔侍中帖」(前田育徳会蔵)、「妹至帖」(個人蔵)をそろえるほか、王羲之の最高傑作である「蘭亭序」の臨書や拓本などの名品を公開しています。(会期中、作品の一部に展示替えがあります)

 

実像にどれだけ迫れるか

 

 今回の展示では、国内外に収蔵される王羲之の名品や歴代の優品を通して、その実像に迫り、歴史的に果たした役割を再検証することができます。
 東京国立博物館副館長の島谷弘幸氏は「日中両国を結ぶ貴重な展示。王羲之の決定版とも言えます。実像にどれだけ迫れるか注目して欲しい」と、語りました。

 

○開催=2013年3月3日(日)まで。午前9時30分〜午後5時(3月1日(金)は午後8時まで)
○ところ=東京国立博物館平成館(上野公園内)
○休館日=月曜日
○観覧料=1,500円、大学生1,200円、高校生900円
○主催=東京国立博物館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション
○問い合わせ=03-5777-8600(ハローダイヤル)

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