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日中友好新聞

2012年10月15日号1面
心の窓開いて話し合いを進めよう
5項目の提言 沖縄で尖閣諸島問題を考える
上里賢一(琉球大学名誉教授)

 沖縄にとっては、尖閣諸島はあたかも自分の庭先にあたる身近なところである。宮古島や石垣島の漁民は、緊張激化に困惑している。尖閣海域は豊かな漁場であり、漁民の生活の場である。ここでの日中のナショナリズムの衝突は、双方にとって何の利益にもならない。とくに、沖縄は影響が大きく、痛みと損失を生み出すだけである。
 尖閣諸島を日中双方の利益になるように活用するために、私たちにできることは何だろう。主に五つの提案をしたい。領土問題を解決する方法というものではなく、日中双方が心の窓を開いて話し合うための前提というくらいのものである。

 

写真1 日中友好協会
上里賢一氏

対米従属路線の見直しを

 

 まず第一に、日本が冷戦構造の古い観念から自由になり、独立国としての主体性を取りもどすこと。
 そのため、敗戦後一貫して変わらぬ対米追従の外交路線を見直し、日米安保条約を解消して日米平和友好条約を結ぶこと。
 これが中国をはじめアジア諸国との信頼関係構築の近道であり、尖閣諸島問題の解決の糸口になる。

 

軍事的緊張の火種とするな

 

 第二、尖閣諸島問題を決して日中の軍事的緊張の火種にしないこと。日本国憲法の精神にもとづいて、話し合いで解決するという原則に立ち、ねばり強い対応をすること。
 石原東京都知事の島購入や島への接近、一部の青年の島上陸の策動は勇ましく見えるが、「領土問題化」をねらう中国の戦略にはまった軽率な行動ともいえる。中国で燃え広がっている「反日」デモは、日本のナショナリズムへの対抗という一面をもっているのだから。
 とは言え「反日」「愛国」を標榜しての放火や略奪等の暴力破棄活動は、日中どちらにとっても利益にならない犯罪行為である。
 これは、中国の軍事力に対する警戒感を背景とした「中国脅威論」の炎に油を注ぐようなものである。

 

「領土問題」の存在認めよ

 

 第三に、「領土問題は存在しない」(日本政府の見解)と突き放すのではなく、日本、中国、台湾でそれぞれの主張の根拠を出し合い、広く国際的に開かれた場で議論すること。
 尖閣海域における突発的事件を防止するため、日・中・台三者の協議機関を設置すること。
 長期的には第三者機関(たとえば国際司法裁判所)による調停を排除しないこと。

 

資源共同開発へ踏み出せ

 

 第四、海底資源、漁業資源の共同開発・共同利用について、中国、台湾と話し会う機会がもてるよう働きかけること。
 最近、台湾の馬英九総統が、日本と話し合う用意のあることを表明しており(9月16日付朝日新聞)、現在の閉塞状況を打開する契機となる。

 

日中台間で共同研究を

 

写真2 共同通信社
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島
(写真提供=共同通信社)

 第五、尖閣諸島問題について、日本、中国、台湾の研究者による共同研究を進め、学術交流を活発にすること。そのためにも、まず国内において歴史・政治・法律・安全保障・地理・海洋・生物・資源開発・国際法等幅広い分野の学際的な研究の場を構築すること。
 尖閣諸島での相次ぐ事件を口実にした先島への自衛隊配備、中国の軍事的脅威に対する抑止力としての普天間基地へのオスプレイ強行配備は、今まで以上に中国との軍事的対決を強めるものであり、尖閣諸島周辺の緊張関係を激化させ、東アジアの軍事的緊張を煽るばかりで、アジアの平和に逆行するものである。
 沖縄から見れば、このような対応は最悪である。戦艦や戦闘機によるにらみ合い等の軍事的緊張を排除し、周辺海域の安定を確保することこそ大切である。
 そのためには、中国も「反日」に名をかりた暴力や破壊活動は直ちに止めるべきであり、軍艦による示威行動等は厳につつしむべきである。(沖縄県支部長)

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