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日中友好新聞

2012年8月15日号1面
「中国脅威論」その背景や根源を考える
生活感上の学習が第一歩

 「中国は日本を脅かす有害な国だ」という「中国脅威論」が最近マスコミなどを中心に勢いを増し、尖閣諸島の領有権問題や中国の軍事力増強なども手伝って、中国に対する悪感情(嫌中感)が日本国民の間に広がっています。このことは「中国に親しみを感じない」という世論調査データが7〜8割にものぼっていることに端的に示されています。
 いまや、「中国脅威論」が日中両国関係の発展に大きな障害をつくり出していることは明らかです。私たちは、これを野放しにするわけにはいきません。「脅威」が、なぜこのように叫ばれるのか―その背景や根源をつかみ、それを打ち破ることなしには日中友好運動の前進もない、といえます。

 

茶の間や台所にも「中国」が

 

写真1 日本中国友好協会

中国がいかに身近な存在であるかを訴える
日中友好協会の「しおり」

 この問題を考察するうえで必要なのは、先ず私たち一人一人が「中国は本当に恐ろしい国だろうか」と、胸に手を当てて考えてみることではないでしょうか。
 そこで、自分自身の生活を見つめ直すと、私たちは「中国」との深い結びつきのなかで毎日を過ごしていることが改めてよく分かります。「中国」は恐ろしいどころか、“わが家”の茶の間や台所に深く入り込んでいる不可欠で身近な存在なのです。
 そのことは、日中友好協会本部が作成した入会お誘いの「しおり」のなかに具体的に書かれています(写真参照)。「まわりを見回せば、ここにもあそこにも中国が・・・」「私たちの生活の中にはいろんな中国が詰まっています」。
 この実感を基礎に、家族や友人、知人に「中国」を語り、誤解を解きほぐし、「友好」の輪を広げていくことが、「脅威論」の障害を取り除く最も基本的な道筋ではないでしょうか。

 

日本貿易の最大の相手国

 

 国と国の関係でも、日本の貿易で相手国のトップは、アメリカではなく「中国」。貿易総額の約20%を占めています。
 08年以来の世界経済危機のなかで、停滞が続く日本経済の存続にとって、いまや中国は「頼みの綱」です。
 人的交流の面でも、昨年は大震災の影響で落ち込みましたが、日本から377万人余り、中国から141万人余りという相互訪問の水準(2010年)は今後もいっそうの増大が見込まれています。
 このように密接な関係が現存するのに、なぜ「中国脅威論」が振りまかれるのか?その基本的背景の一つに、アジアで台頭する「中国」があります。
 日本は戦前・戦時、軍事力でアジアを制圧。戦後も、ODA(政府開発援助)など、経済力をテコに、長年アジアの“盟主”であるかのように振る舞ってきました。
 しかし、最近その地位が「中国に奪われそうだ」という焦燥感、危機感が日本の一部勢力の中に広がっています。

 

根源に日米軍事同盟

 

写真2 日本中国友好協会

戦慄スクープ!「中国領土化する日本」
と題して特集を組んだ『週刊ポスト』
(6月29日号)

 もっと根本的には、アメリカの対中戦略と日米軍事同盟があります。
 オバマ米大統領は今年の年頭教書演説でアジア太平洋地域での軍事力増強の方針を明言。これは、昨年来のオーストラリアへの米海兵隊配置などと合わせ、「台頭する中国」をにらんだものであることは明らかです。
 アメリカが推進するTPP(環太平洋連携協定)も経済面を中心に「中国包囲網」を構築するねらいが浮き彫りになっています。
 日本政府は日米軍事同盟の下で、アメリカのこれらの戦略に全面的に協力し、「同盟深化」を唱えながら、南西諸島への自衛隊配備をめざすなど、「動的防衛力」の動きを強めています。
 このように、日米軍事同盟体制は、北朝鮮とともに中国を「仮想敵」視し、その下で中国への対抗戦略を着々と展開しています。
 「中国脅威論」の広がりは、この流れと一体のものと見る必要があります。「脅威論」は、単なる「感情論」以上に、前述したような構造的根源があり、意図的につくり出されていることは明らかです。

 

憲法9条生かす道こそ

 

 私たちは「中国脅威論」の本筋を見届けたうえで、自らの生活や活動の場でその影響を取り除き、侵略戦争正当化や戦前回帰の動きを許さず、「草の根」の日中友好を進めることが大切ではないでしょうか。
 さらに、今後の展望として、日米軍事同盟をなくし、本当に憲法9条が花開く日本をつくり上げることこそが、日中両国民間の友好と信頼を築き、アジアの平和を確かなものにする最も重要な道筋ではないか、と考えます。 (平井潤一)

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