日中友好新聞
2012年7月25日号1面
「中国のイメージが変わった」
中学生500人に出張授業
加古川支部(兵庫)前田清
日中友好協会加古川支部(兵庫県連)の前田清支部長は、加古川市教育委員会「ことばの力」育成プログラムの指定第一弾として、7月5日、加古川市山手中学校体育館で全校生徒約500人に「日中文化交流と『ことば』」をテーマに講演しました。前田さんは以前、同中学校の教師をしていました。
密接な文化の結びつき
前田清さん(右)が全校生徒約500人に講演
私の講演「日中交流とことば」の本論では、「中国とは?」のテーマで広大な中国を紹介、地図とDVD映像で長江を示し、また、現在の最大人口都市は重慶(3200万人)、李と王の二姓で日本人口を越えるなどの説明に「えー」と驚きの声があがりました。
漢字の交流では、甲骨文字の始まり、秦始皇帝時代の文字統一、その後の漢字文化伝来と取り入れの経緯を紹介しました。
日本文化に大きな影響を与えた漢詩(2年生国語で学習)、李白の「早発白帝城」。杜甫の「春望」を中国語と日本語で朗詠し、生徒たちに感銘を与えることができました。
漢字が日本で、万葉がな、さらにカタカナ、ひらかなの独自文化を生み出し、さらに漢字に日本だけの「国字」(1年教科書)の辻、峠や、地域の苗字に多い畑、畠、佃などを紹介。
また、日本在住の中国人留学生が持ち帰った和製漢語=「科学」「技術」「文化」「芸術」「政治」「自由」「権利」などの紹介(3年教科書)は、生徒たちに大きな反響を呼びました。
「相互理解の大切さ」納得
石英女史(右)の歌と
孫文宇さんのピアノ伴奏が
生徒たちを魅了
講演の最後に、日清戦争以後から日中全面戦争、戦後も1972年の国交回復まで長期の交流中断は日中双方に大きな損失をもたらし、この教訓を大事にして、いまの交流で歴史上最大の結びつきが生まれている事実。現在の中国は世界第2位の経済に発展したが、まだ途上国で克服課題が多いことも紹介。
「問題点の一部だけを見て、これが中国だ」と思い込まないことが大切と説明。まとめとして、世界を見るとき、「地球は一つ」「人類みんな兄弟」の視点が重要ではないだろうか?そして「日本は中国を知る」「中国に日本を知ってもらう」この努力が大切、と結びました。
第二部では石英女史(大連芸術学院)の「大海阿故郷」「花」など日中歌曲各2曲と孫文宇さんのピアノ伴奏やフルートの独奏などが生徒たちを魅了しました。
最後に舞台に立った長谷川恵子さん(同中学校OBで元OSKプリマドンナ)がスピーチで、中学卒業後松竹歌劇団に入団。以後芸能界一筋に活躍した体験を話し、全員で「ふるさと」を熱唱しました。
「誤解していて悪かった」
さぁ中国語で発音しましょう!
休憩なしの1時間50分の講演と学習の閉会後、教職員と生徒から感想が寄せられました。その中で注目すべき特徴の一つは、生徒と教職員の多くが率直に、「中国についてニュースや新聞からは悪い印象しかみたことがなかった」(1年)とマイナスイメージに触れていることです。
「中国は人口、経済成長、消費で世界一だがコピー文化や人権問題など、マイナスイメージが強かったが、映像で三峡ダムや重慶の現代の姿を知り認識が少し変わった」(教員)。
「『知る』という努力をせず判断することは大きな過ちであると思った」、「『ことば』により理解し合い関係を深めることができるということ、自分の目や耳で実際に確かめ、接してみることを心掛けたい」(教員)
「悪いイメージがあったが、おかげで、とても中国が好きになって、一度中国に行ってみたい」(2年)
「思っていた中国と全然ちがう、誤解していて悪かったな」「同時にあんなにいい国と戦争をしていたなんていやだと思った」(1年)
第二に、「中国語にじかに触れ、発音にも深い印象を受けた」(2、3年)。
第三に、「中国の歌、日本の歌の素晴らしさ」、「楽器演奏の素晴らしさが心に深く残った」、「石英さんの歌、フルート演奏の素晴らしさ。文化交流の重要性を示している」(全学年)
全体として中国を身近に感じ、「講演のまとめ」で述べた「地球は一つ、人類みな兄弟」、「中国を知る」「中国は日本を知る」を素直に受け止め、感想のほとんどがこのことにふれているなど、予想以上の反響で、協会として要請に応えられたかなと感じています。
(加古川支部長、兵庫県連会長)