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日中友好新聞

2012年1月25日号1面
日中国交正常化40周年記念
空前規模の皇帝コレクション 北京故宮博物院200選

 日中国交正常化40周年を記念し、2月19日(日)まで東京・上野の東京国立博物館で「北京故宮博物院200選」展が開催され、初日の1月2日は約6,000人が来場し、大盛況です。
 今回の特別展は、第T部「故宮博物院の至宝」、第U部「清朝宮廷文化の精粋」の2部構成で展開、紫禁城を飾った皇帝ゆかりのきわめて貴重な文物から、選りすぐりの名宝200件が出品されています。最大の見どころは、中国国外で初公開となる名画「清明上河図」(1月24日までの限定公開)。質・規模ともに北京故宮展の決定版ともいえる展示内容です。(編集部)


写真1 故宮博物院

[一級文物]《清明上河図》(部分)故宮博物院所蔵、写真提供:故宮博物院


故宮博物院は中国美術の宝庫

 

 明の永楽帝から清の宣統帝溥儀まで歴代24人の皇帝が住んだ紫禁城は現在、北京故宮博物院として一般公開され、壮麗な宮殿建築と180万点を超える膨大なコレクションを誇っています。
 今回の特別展には、黄庭堅(こうていけん)、蔡襄(さいじょう)、米※(べいふつ ※=「草」冠に「市」)の宋三家の書のほかに青銅器や玉器、漆工、琺瑯、染織などの名品合計200件が展示され、その約半数を国宝級の第一級文物が占めています。その中で、今まで門外不出とされた宋・元時代の書画全41件のうち、39件が日本初公開。故宮博物院が開催した海外展としては、過去最大規模です。
 東京国立博物館列品課長の富田淳さんは「20年前から中国との信頼関係を築き、今回の開催にこぎつけた。念願かなった。中国美術の真髄にぜひ触れていただきたい」と、語りました。

 

「清明上河図」がついに海外初公開

 

写真2 故宮博物院
故宮博物院・太和殿外景
写真提供:故宮博物院

 中国美術史上の最高傑作として「神品」と賛えられた名画「清明上河図」の公開は中国でもまれで、北京故宮博物院では7年に一度、中国国内では上海・瀋陽・香港の3カ所しか出品していない、幻の図巻です。
 これは北宋文化の絶頂期であった皇帝・徽宗(在位1100〜25年)に献上するために宮廷画家の張択端が制作、北宋の都・開封(現在の河南省開封市)の光景を描いたもの。全長約5メートル、縦24センチの蒔絵の世界には約800人が登場し、そのスケールはまさに圧巻。※河(べんが ※=「さんずい」に「丶」の下に「下」)の流れに沿って市民の生活が衣食住にいたるまで細かに描かれ、宋代の風俗を知るにも一級の資料です。
 (「清明上河図」は北京故宮博物院200選のホームページでも見ることができます)
 同館東洋室研究員の塚本麿充さんは、「『清明上河図』がやってくるなんて奇跡としか思えない。中国人の100人が100人みんな知っている名画です。見どころは、虹橋にさしかかる船と人びとの描写、この図のクライマックスです。当時の造船技術が手に取るように分かります。また、人びとの生き生きとした活気ある暮らしなどが美しい色彩で描かれている。まさに当時を視覚化できる図です」と、興奮ぎみに説明しました。

 

清朝300年の豊かな世界観

 

写真3 故宮博物院
乾隆帝像 故宮博物院所蔵
写真提供:故宮博物院

 清朝最盛期を生きた第6代皇帝・乾隆帝(在位1735〜1795)のコレクションも必見です。「満州族の正装」「歴代皇帝にならって漢族の姿」「菩薩王としての姿」「ヨーロッパの君主風」の4枚の肖像画からは当時、モンゴル、台湾、ベトナムなどの民族を支配するために自らのイメージを使い分けていた乾隆帝の姿を見ることができます。漢族の姿で描かれた「乾隆帝是一是二図軸」では、乾隆帝自らと、その愛した文物を描かせ、文化面でも最高指導者であることを世に示しました。
 今回の展示では、その絵のなかにある湯叔盤、玉璧、彩漆円卓、青花唐草文有蓋壺などを集め、是一是二図の部屋を再現したほか、美しい刺繍に彩られた満州族の礼服、チベットから進貢された文殊菩薩坐像、ヨーロッパの影響を受けた銅製鍍金琺瑯亭升降塔飾置時計など見ごたえ十分です。そこには異民族の文化を尊重し、共存・融合させることで大清帝国の夢見た多文化共生の世界観が広がっています。(押)

 

 〔開催要項〕
▽開催=2月19日(日)まで。午前9時30分〜午後5時(入館は閉館の30分前まで)。月曜休館。
▽ところ=東京・上野の東京国立博物館平成館
▽観覧料=当日一般1,500円(前売り1,300円)、大学生1,200円(同1,000円)、高校生900円(同700円)、中学生以下無料。
▽問い合わせ=ハローダイヤル03-5777-8600
▽主催=東京国立博物館、故宮博物院、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション

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