日中友好新聞
2011年10月5日号1面
被災地「神戸」と「成都」 交流で進む三国志のまちづくり
ジオラマ館の展示やパレードなど多彩に
森本真
阪神淡路大震災被災地・神戸市と四川大震災の省都成都市が、共通の被災体験を通じ新たな友好交流を発展させようとしています。その媒介となったのが有名な「三国志」。
漫画「三国志」や「鉄人28号」の作者、横山光輝さんの生地が長田という縁もあり、2006年から震災復興・地域活性化を目的とした「鉄人プロジェクト」が始動。
10月9、10の両日神戸市長田区で「第5回三国志祭」が開かれます。その経過と背景について森本真さんに聞きました。
インターネットを通じて
世界最大級三国志演義のジオラマ
それは、重慶市の日本語学科の中国人学生との交流から始まりました。
FACEBOOK、SKYPEなど国境を越えてつながるインターネットツールがあります。たまたま私のSKYPEに重慶の日本語学科の大学生から、「日本人と話したい、日本語を教えてほしい」とアクセスが…。その後、後輩なども含めて日本語の試験対策など会話を楽しんでいました。
その学生が卒業を迎えるということで、「会おう、そして重慶市の近くに、四川大震災(2008年5月12日)の被災地があり、復興状況を知りたい、また、いま長田区が取り組んでいる三国志の蜀の国・成都市の武侯祠博物館もあるので案内して」ということで、昨年4月に、重慶市、成都市、震源地・映秀や世界遺産・都江堰などを回りました。
「本場・本物」にアプローチ
世界最大級三国志演義のジオラマ
(C)KOBE鉄人PROJECT2011
その後、「長田の鉄人と三国志のまちづくり」を進めるに当たって、「どうしても三国志の本場である成都市と交流がもてないか、また2011年春にオープンする神戸三国志ガーデンに協力できないか」など、成都市長に手紙(Eメール)を送りました。
成都市(外事弁公室)から、「ぜひおいでください」との返事がありました。
そこで、まちづくりを進めているNPO法人KOBE鉄人PROJECTのメンバーとともに、昨年7月に成都に行き、成都市外事弁公室(国際交流課)、武侯祠博物館のある武侯区役所、武侯祠博物館などと懇談・交流を行いました。
武侯祠博物館では撮影などの協力を快諾していただき、成都市武侯区と神戸市長田区の交流については引き続き協議をしていこうということになりました。
尖閣問題のさなか、順調に史跡を撮影
成都武侯祠博物館の紹介展示
(C)KOBE鉄人PROJECT2011
折しも尖閣諸島問題が激化していた昨年10月、鉄人プロジェクトは成都市に撮影隊を送り、武侯祠博物館や近隣の三国志の史跡などを精力的に撮影しました。武侯祠博物館や成都市外事弁公室の全面協力のもと無事撮影も終わり帰国。2011年3月にオープンしたガーデンの展示室に武侯祠博物館の副館長のメッセージや成都市の観光案内DVDとして展示されています。
そして、今年の5月、「2011成都国際友好都市ウィーク」に招待されました。国際会議では、ニュージーランド、インドネシア・スマトラ島、そして四川(成都)と地震・津波などの被災地の市長や議員なども参加していました。
私は、東日本大震災に対する世界各国からの心温まる支援・応援に対して心から感謝を述べるとともに、「困難を乗り越えて、復興に向けてがんばる仲間です」とスピーチしました(初めて英語で)。
神戸市と成都市とは、いくつかの共通点があります。パンダ、ユネスコ創造都市、そして被災地、さらに三国志が付け加わりました。
さらなる交流で友好とまちづくりを
「2011成都国際友好都市ウィーク」に出席
友好都市国際会議に参加した後のインタビューで、「神戸と成都は、まだ友好(姉妹)都市ではないけれど、震災被災者の気持ちが分かる。これが大きな共通点・絆ですね」とインタビュアーの女性が語ってくれました。交流はこれからです。
神戸・長田は、「三国志ジオラマ館」を中心に「体験館」「交流館」「庭園」からなる三国志ガーデンや三国志武将の石像、バナーなどがある商店街で、巨大灯ろうパレードを実施する三国志祭など三国志通にはたまらないところです。
鉄人とともに三国志のまち・長田へぜひおいでください。(神戸市議会議員)
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