日中友好新聞
2010年11月15日号1面
福井会場、1万1500人が鑑賞
漫画展「中国からの引き揚げ〜少年たちの記憶」
日本中国友好協会創立60周年記念企画として全国各地で開催されている漫画展「中国からの引き揚げ〜少年たちの記憶」が、10月15日から21日まで、福井市の福井県立図書館で開催され、1万1500人が鑑賞。「漫画展」は協会福井支部(細川靖治支部長)が主催しました。
多くのメディアが大きく報道
毎日、多くの人が訪れた展示会場
「漫画展」は多くのメディアが早くから注目し、NHKテレビ・ラジオ、福井新聞、朝日・毎日・読売・県民福井、中日新聞などが事前予告と当日の取材を含め大きく報道しました。
これを見て県下各地から観客が押し寄せ、遠くは敦賀市から足を運んだ人もいました。会場が図書館だったこともあり、来館した多くの人が年齢層を超えて鑑賞しました。
また、福井在住の多くの中国人留学生が展示、受付などに協力しました。参観者から128通のアンケートが寄せられました。
あの人も「中国からの引き揚げか」
中国の留学生たちは受付を担当
展示された漫画は、すべて漫画界の有名人のもの。多くの感想が寄せられました。
「これほど多数の方が中国引き揚げ者とは知りませんでした。幼児期とは言え、幼い頃の眼に焼きついた記憶は決して消えないもの。この作品をもっと全世界へ」(50代の男性)。
「赤塚さんの文が気に入りました。僕は『バカボン』が大好きです」(10代の男性)。
「子どもの視線から見た戦時中の様子が新鮮だった」(30代の女性)。
「有名な漫画家の心の底にある苦悩を感じた」(30代の女性)など。
漫画のもつ魅力と迫力
指をさし、漫画を楽しむ子どもたち
漫画のもつ魅力と迫力についても「漫画家の方の絵と文があって、文だけより親しみがもてた」(10代の女性)。「写真にないよさがある」(50代の男性)。「昨年図書館でこの漫画が載った本を見ました。ぜひ原画が見たくて来ました」(50代の女性)などの感想がありました。
自分も幼い頃の戦争の体験やイメージをもつ年代からは、「大きな歴史の渦のなかで、子どもが何を見、何を感じ考えたか、リアルに見るものの思考を刺激してくれた」(60代の男性)。
「終戦が5歳。父が戦争に行く時に村の神社であいさつしたことや、B29も見ました。幼い記憶ですが、ぜひ見たくて来ました」(70代の男性)。
「満州から帰ってきた時、日本の景色は箱庭のようだったという言葉がありました。今年旧満州を旅してきたので実感しました」(70代の男性)。
「父が満州からの引き揚げ者でした。当時の話を聞いていないので、見に来ました」(70代の女性)など、すべて実感がこもっていました。
来年は「中国引き揚げ65周年」
来年は「中国引き揚げ65周年」に当たります。日本中国友好協会は、好評の「漫画展」をさらに全国に広げるため2011年末まで貸し出しを続けます。
さらに多くの開催が期待されています。(粟田栄)