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日中友好新聞

2010年10月5日号1面
建国61周年迎えた中国
格差是正で暮らし改善めざす

中国は10月1日、建国61周年の国慶節を迎えました。
 中国の国力の前進は今年も衰えをみせず、国民総生産(GDP)は、昨年(前年同期比9.1%増)に続き、今年上半期に11.1%と大幅増を記録。下半期はややペースが落ちると予測されますが、年間10%前後の伸び(目標は8%前後)を確保しそうです。

 

世界経済支える「頼みの綱」

 

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ごちゃごちゃしていた北京の前門大通りは、
08年の北京五輪を機におしゃれな街に一変しました。

 08年後半以来の世界経済危機に立ち向かって短期間にV字型の回復に成功した中国は、今年中にはGDPで日本を追い抜き、世界第2位になることが確実で、当の日本はじめ停滞が続く先進諸国の経済を支える国際的な「頼みの綱」の役割さえ果たしています。
 中国のすばやい経済回復は、外需偏重から内需(4兆元〔約52兆円〕の大型公共投資など)中心への政策転換が功を奏したためですが、内需を支える主な柱(投資と消費)のうち、消費の割合が相対的に低く、これをどのように高めて安定した長期成長を維持するかが重要課題となっています。
 中国政府が今年、「経済発展方式の転換」を掲げ、所得格差の是正や社会保障制度の改善などで社会底辺の庶民のふところを豊かにして購買力を向上させ、それを消費拡大につなげる政策実現をめざしているのはそのためです。
 現在、中国では各分野で貧富の格差が際立ち、「1988年から07年の間に、個人所得が最多、最少各10%の人びとの格差は7.3倍から23倍に拡大」、「都市・農村の所得格差は2000年の2.8倍から08年には3.3倍に拡大」などのデータが報じられています。

 

最低賃金を大幅アップ

 

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卓球、器械体操、語らい…。
夕方の北京の公園に中高年がつどいます。

 今年、その改善策の一つとして、全国の大多数の省・市・自治区で最低賃金を10%〜20余%アップ。これは、労働者、とりわけ農民工(農村からの出稼ぎ労働者)の暮らしの改善に役立っています。
 中国マスコミは「農民工の賃金は同じ仕事をしている都市労働者の半分ないし3分の1だ。もし同一賃金ならば、消費拡大、都市・農村の格差縮小に大きく影響するだろう」と報じています。
 社会保障面でも、昨年創設された農民向け公的養老年金制度の全国普及範囲が、昨年の10%から今年は23%に拡大、都市の養老年金も企業定年退職者への支給額が10%増額され、医療保険は給付水準が向上し、患者負担が軽減されました。
 中国は今年で第11次5カ年計画が終わり、来年から新しい5カ年計画がスタートします。新計画の内容は、10月中に開かれる中国共産党の中央委員会総会(17期5中総)で討議されますが、そのなかで「経済発展方式の転換」がさらにどう具体化されるのか、注目されます。(J)(写真は、北京在住の松木研介さん撮影・提供)<

 

郊外への日帰り旅行が人気 上海の国慶節連休
 福永平和(元毎日新聞編集委員)

 上海在住の福永平和さんから、「国慶節を迎える市内の様子や市民の声」のレポートが寄せられました。

 

 政治の中心地である北京と違い、もともと上海市民は国家的行事に対する関心は薄い。
 国慶節も、市内の主な通りが国旗などで飾られ、団地の建物の入り口にも大きな赤い提灯がつるされるが、一般市民が参加するような催し物は少なく、市民の反応はイマイチだ。関心の的は、国慶節休暇の長さである。というのも、中国の休日は毎年変化するからだ。
 内需拡大のためGWの制度が導入されたのが2001年から。しかし、観光地や交通機関に過剰な負荷がかかるということで、08年から5月のGWを廃止し、代わりに清明節、端午節、中秋節を休日にするという休日分散化の改革がなされ、08年は7連休だったが、09年は中秋節が重なったため、国慶節休暇は8連休となった。
 今年は9月22日から24日までが中秋節の3連休。そして10月1日から7日までの7連休だが、私が教える大学は1日からの9連休である。
 そこで、長期休暇の過ごし方を学生に聞いてみた。ほとんど学生の答えは、「家でゆっくりする」「ちょっと買物」程度である。「万博は当日の指定券を持ってないと入れないし、市内の観光地も上海以外の観光客が押しかけて、どこも人で一杯だから」。
 遠出をしようとしても、チケットは早々と売り切れ、観光地は人また人で混雑し、あらゆる料金が特別料金で割高なため、市民の多くも、学生と同じ過ごし方のようだ。上海近郊の観光地に日帰り旅行というのが人気だという。
 豊かになって、ライフスタイルも落ち着き、上海市民は賢い消費者になっているのである。

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