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日中友好新聞

2010年9月25日号1面
「相互理解・交流の拡大」こそ友好促進の道
どうみる「日中共同世論調査」

 日本の「言論NPO」と「中国日報社」による「第6回日中共同世論調査」が8月12日、公表されました。
 これによると、「中国人の対日イメージは改善傾向が顕著であり、今後の日中関係についても楽観的な見方が強まっている」一方で、「日本人の中国に対するマイナスイメージは、なかなか改善が進んでおらず、日本人の半数が日中関係の改善に確信を持っていない」ことが示されています。
 協会は「両国民の相互理解と友好を深める」(規約2条)ことを大きな目標に掲げています。この立場から、今回の調査を「どう考えるべきか」迫ってみました。

 

日中友好運動の役割の大きさ痛感
 田中義教(日中友好協会理事長)

 

 この共同調査も日中関係をめぐる従来の各種調査とほぼ同様の特徴とともに、今後の日中友好協会の活動にも参考にしたい興味深い結果が出ている。

 

メディアの報道姿勢に大きな問題

 

写真1
 7月12日、東京・荒川区の赤土小学校へ、天津市教育修学訪日団の小学生が訪問。
 生徒たちは、それぞれ工夫し、クラスで歓迎した。協会荒川支部が07年に始めた青少年活動は今年、地域的な活動に広がりつつある。

 先ず、中国人の対日感情は改善されてきているが、日本人の対中国感情は好転しないままである。
 中国に関しては日本人回答者の95%がニュースメディアで、うち8割がテレビの情報によっている。
 日本での韓流ブームはテレビで演出され、やはりマスコミの影響大だ。われわれとしても日中友好新聞でさまざまな中国の紹介、中国への関心に応える活動など展開しているが、不十分さを痛感せざるを得ない。

 

「日中関係重要」の認識一致に注目

 

 次に、対中国マイナスイメージの原因は、「食の安全」、「資源とエネルギー」、「軍事的脅威論」である。今回の調査で、前者の低下に対し、後二者の増加傾向が気になる。
 ジレンマを感じつつも、両国民ともに両国関係が重要との認識では一致している。現在の日中関係についても、中国人の7割以上が良好と考え、日本人もその割合が増えている。これらは相互理解の環境づくりとして、今後とも注目したい。

 

「歴史認識問題」正面にすえて

 

 懸念材料はやはり歴史問題、認識である。中国人は「交流が深まれば解決に向かう」との前向きの回答が半数を超えたが、日本では歴史問題の解決が困難とのとらえ方が3分の1。
 その一方で、「首相の靖国参拝」を肯定する割合が毎年増加し、条件付も含めると7割に達している。
 日本人として歴史問題を正面からとらえ、きちんと向き合わねば相手国の理解は受けにくい。「再び戦争をする国」にしないために協会が果たす役割はますます大きいことを再認識した。

 

民間交流推進が重要

 日中双方とも「相手国に行きたくない」が50%前後で、協会としてはそれぞれの文化、魅力を伝え合い、民間の往来を盛んにしていく必要を感じる。
 あらためて、協会としては多くの国民に中国の実情を正しく伝え、文化交流などを通じて相互理解を深めるために働きかけていきたい。

 

問題は日本の政治・外交姿勢
 丸山重威(関東学院大学教授)

 

写真2
丸山重威さん

 調査結果を見て、やっぱり問題は日本の政治・外交姿勢なのだろうと思う。
 「中国人の対日イメージは改善傾向」でありながら、マイナスイメージの理由は「過去に戦争をしたことがある」と「侵略した歴史を正しく認識していないから」という指摘に弁解の余地はない。
 中国人の見る現在の日本社会が、「資本主義」や「民族主義」だという見方はいいとしても、3分の1が「軍国主義」とみているのも深刻だ。日本の国民性も「平和的」ではなく「好戦的」だと見ている人が多いというのも同様である。
 一方、日本人の中国理解は、「社会主義」「共産主義」「全体主義」「大国主義」とパターン化し、「日中両国民に信頼関係がない」状況もはっきりした。これを変えていかなければどうにもならない。

 

東アジア諸国との平和こそ

 

 日本の最大の問題である「米軍基地・日米安保の廃棄」も、「脱核抑止力・核廃絶」も、あるいは、日本国憲法が求める本当の「非武装」にしても、東アジア諸国との友好関係が保障され、平和関係が構築されなければ、本質的に実現することはできそうにない。
 昨年の政権交代は、「対米従属」と「冷戦思考」から脱却し、「アジア外交」と「平和外交」に軸足を移すチャンスだった。しかし、鳩山政権の裏切りと、菅政権の保守回帰で、一頓挫した。しかし、その期待と可能性は依然消えていない。

 

相互の偏見・蔑視の除去を

 

写真3
「(中国の子も日本の子も)一緒な感じがした」
と生徒たち

 相手の国や民族を知らないこと、偏見や誤解、民族の優越感や蔑視が、相互の不信感を強め、戦争の危機を招くことは、第2次大戦の反省として、ユネスコ憲章に書き込まれた。
 「ニューズウイーク」8月11・18日号(日本版)は「中国人観光客が世界を変える」と、中国人の海外旅行熱を報じたが、日本に来たことがある中国人は、0.6%、人口にしてみると、700万人を超すことになるはずだ。この人たちが、間違いなく、中国自身をも変えていくだろう。
 日本人はそうした民間交流に信頼をおきつつ、あらゆる場で友好関係を深めていくことが大切だと思う。

 

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