日中友好新聞
2010年5月25日号1面
健康志向のなかで人気上昇!
中国茶の魅力を追う
多くの日本人に好まれる中国料理。それと切り離せない中国茶の人気が高まっています。横浜中華街で評判の中国茶専門店「悟空」を訪ね、その魅力を追ってみました。
大きく8種類に分類
「中国茶」と一口でいいますが、広い中国で生産されている種類は膨大です。しかし、製法と発酵の度合いの違いから大別すると8種類に分類されます。
緑茶=龍井(ロンジン)茶・碧螺(へきら)春・黄山毛峰(もうほう)など。中国で6割以上の人が飲んでいる不発酵の茶です。日本の緑茶は蒸すのに対し、中国緑茶は釜で炒ってつくられます。
白茶=白毫銀針(はくごうぎんしん)・白牡丹・壽眉(じんめい)など。摘んだ葉を自然に9割がた乾燥するまで放置し、その後、あぶって乾燥させる中国独特の茶です。不老長寿の茶として知られています。
黄茶=君山銀針(くんざんぎんしん)・霍山黄芽(かくざんこうが)・蒙頂黄芽(もうちょうこうが)など。緑茶に僅かな自動酸化黄変を起こさせる特殊な製法の、黄色みがかかった軽度後発発酵茶は、皇帝への献上茶として使われました。
紅茶=英徳紅茶・雲南紅茶・正山小種(ラブサンスーチョン)など、発酵の程度が最も高い種類。福建省で19世紀からつくられ、なかでも祁門(きもん)や雲南の〈水偏+眞〉紅(てんこう)は世界的な名茶として知られています。
青茶=鉄観音・東方美人・凍頂(とうちょう)烏龍茶など。半発酵茶で、烏龍茶ともいいます。福建省と台湾が主産地で、福建省武夷山一帯の岩山で栽培される武夷岩茶も有名です。
黒茶=普〈水偏+耳〉(プーアル)茶・六堡(リュウパオ)茶・七子餅(チーズビン)茶など。後発酵茶で、普?茶は減肥茶として人気があります。多くは固形にします。
花茶=茉莉花(モリファ)茶・桂花(けいか)茶・〈王+攵〉瑰花(メイクイファ)茶など。緑茶に花の香りをつけて作られます。
工芸茶=茉莉仙桃(せんとう)・錦上添花(きんじょうてんか)・海貝吐珠(ハイペイトジュ)など。茶の新芽を木綿糸などでさまざまな形に加工します。湯を注ぐと、茶葉は花が開いたようになります。
日本で一番人気の烏龍茶
中国茶専門店「悟空」
かつて中国では、お茶は金持ちの飲みもので、贅沢品でした。中国で多く飲まれているお茶は緑茶で、人気は高級品の龍井茶やジャスミン茶でした。
ちなみに、ジャスミン茶は沖縄と深い関係があります。1960年代に日本へ輸入されたジャスミン茶の50%は、沖縄で飲用されました。
いまは、北京ではジャスミン茶、上海では緑茶、福建ではジャスミン茶と烏龍茶、香港では普?茶、広東では紅茶が好まれています。
日本での「中国茶人気」のNo.1は、烏龍茶です。「悟空」の店主、曽徳深さん(日本中国茶普及協会副会長)は、経営する貿易会社で1968年に、日本で初めて烏龍茶を輸入した先駆けです。
日本で烏龍茶は当初、華僑を中心に飲まれていましたが、1976年にNHKが「中国茶特集」を放映したあと、1980年代からブームとなりました。現在、日本での中国茶の愛飲状況は、烏龍茶70%、プーアル茶25%、ジャスミン茶5%の割合です。
1階はお茶や茶器が並ぶ
2階は喫茶室
烏龍茶・プーアル茶の健康効果
日本で人気の、烏龍茶、普?茶。それは、食生活の変化に伴う健康志向に深く関係しています。
まず烏龍茶。消費者が最も興味を示すのは、抗肥満作用です。成分中のポリフェノール類(注@)がダイエット効果を発揮します。食事前に飲むと、急激に糖質を血中に取り込むことを抑制し、血糖値を下げるホルモンのインスリンの消費を節約し、また脂肪吸収を抑制して脂肪の取り込みを減らします。
烏龍茶は、組織内の中性脂肪を分解する酸素の代謝も増進し、体内の脂肪の燃焼を高めることも分かっています。このほか、美容、生活リズムの改善、アレルギー体質改善、虫歯予防などに効果があることも確認されています。
黒茶の一種のプーアル茶。最も高い評価は、抗がん効果です。がん細胞のアポトーシス(注A)誘導作用があることが報告されています。熱湯抽出物で処理すると、がん細胞は形を変え、付着や転移の能力を失い、死滅したとの観察結果があります。
またプーアル茶は「やせる美容茶」といわれています。このほか、抗肥満、血糖値低下、動脈硬化抑制、抗菌など多様な作用があるといわれています。(宣)
注@ ポリフェノール
分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ植物性成分の総称
注A アポトーシス
多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種
日本中国茶普及協会
中国大陸および台湾で生産されている多彩な「中国茶」の普及のため、日本の真摯な愛好者・研究者が協力し合って2005年に設立された非営利団体
※取材協力=曽徳深新光貿易株式会社社長・株式会社菜香会長
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