日本中国友好協会
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日中友好新聞
2009年11月25日号1面
外国人研修生・実習生制度−低賃金、無権利、使い捨て
制度そのものに深刻な問題 首都圏移住労働者ユニオン書記長 本多ミヨ子
アジアへの技術移転を建前とした「研修生・実習生制度」で来日する外国人が、実際は不当な条件のもとで働かされ、人権を著しく侵害されているケースがあいついでいます。 br>
「国際研修協力機構」(JITCO)の資料によると、08年末現在、在日研修生は約10万人、技能実習生は約12万人。同年JITCOの支援で来日した外国人研修生約6万8000人のうち中国人は5万4000人余りで、日中友好を考えるうえで無視できない社会問題となっています。これに対し、各地の日中友好協会も彼らに手をさしのべ、尽力しています。
日中友好協会第1回理事会1日目(11月14日)の学習会で解説する本多ミヨ子さん
日本の研修生・実習生制度は1981年に創設され、その目的は「わが国で開発され培われた技術・技能・知識の開発途上国への移転を図り、当該開発途上国などの経済発展を担う『人づくり』に寄与する」国際貢献、国際協力としています。
その仕組みは、1年目は「研修生」(労働者ではない)として日本の企業などで約1年、技術・技能などを修得後、技術検定に合格するなど要件を満たすと、正式な雇用関係の下で「技能実習生」として最長2年間働くことができるというもの。
この3年間の期間を通して同一企業で働くことが義務づけられています。
研修生・実習生の受け入れには、主に大企業が海外の現地法人などの職員を直接受け入れる「企業単独型」と、中小企業団体、商工会議所などが受け入れ団体となり、傘下の中小企業に派遣する「団体監理型」の2つがあります。
「団体監理型」は、中小企業の要求で1990年に導入され、受入れ可能人数も増やされ、翌年設立された公益法人「国際研修協力機構」(JITCO)の援助、指導を受けるとしています。
そして、現在受け入れの9割以上を占めるこの「団体監理型」で労働基準法違反などの不正行為が多発しているのです。
劣悪な労働条件と多発する人権侵害
「研修・実習」の実態は、「これが現在の日本か」と思うほど劣悪。各県の縫製工場では月6万円程度で、1日12時間〜13時間の労働に加え、研修生には禁止されているはずの残業もさせられ、その手当は300〜400円と、異常な賃金の安さ。
また、「逃亡防止」のためにパスポートを取り上げたり、強制的に銀行口座をつくらせ、賃金から天引きして「貯金」させるケースも常態化。実際は貯金などせず、使い込みをしていた悪質な雇用主もいます。
セクハラ被害、暴力、過労死を疑われる病死、事故死のケースも多数報告されており、実態を明らかにする必要があります。
不当な扱いに「抵抗」できない理由
研修生は、本国の送り出し機関(中国では95%が民間派遣会社)を通じて来日しますが、その際に、「現地の労働者らと交流したり、ストライキなどを起こしたりしない」「携帯電話の購入をしない」「遠出をしない」などといった誓約書を提出させられ、さらに、日本円で30万〜100万円と、高額な保証金・仲介料・手数料を支払っていることがわかっています。
そのため保証金などを納めるために土地を売ったり、借金したり、親戚じゅうからお金を借り集める場合が多く、3年間何ごともなく勤め上げれば返還される保証金は中国の場合、支払額の約3割。日本にいる間に、支払った額以上の賃金を得るしかありません。
研修生・実習生にとって、研修・実習途中の強制帰国は親戚まで巻き込んだ一族破滅を意味しています。この高額の支払いが、研修生・実習生が日本での不当な待遇に抵抗できない原因になっています。
各地で「つながり」つくる取り組みを
出入国管理および難民認定法(入管法)が今年7月改定され、研修生・技能実習生制度は「研修生」をなくし「技能実習生」に一本化、来日3カ月目から「労働者」とし、労働基準法が適用されます(2010年7月から施行)。
しかし、「借金地獄」と、「雇用主に逆らったら強制帰国」の脅しのもと、3K労働の現場に、「低賃金、無権利、3年で使い捨てできる」労働者を送り込んでいる問題点は解決しません。
現地送り出し機関にも下請け、孫受けの派遣会社がある可能性があり、研修生・実習生派遣の利権構造ができ上がっていると見ています。
「研修生・実習生」制度は、この制度の一部を手直しして解決することができないほどに、深く大きな問題を内在しています。
本来であれば、少子高齢化のなか、日本経済は外国人労働者の力を借りなければやっていけない現状をふまえ、「力を貸してもらう」姿勢でないといけません。入管法を改正して、正式な労働者として外国人を受け入れるべきです。
全面的な解決に向けては、権利侵害をひとつでも多くなくす運動以外にありません。日中友好協会の皆さんには、地域にいる中国人研修生・実習生を催しなどに招待し、実態を聞いてあげるなど、「つながり」をつくってほしいと思います。
地域の労働組合と協力し、問題に一つひとつ取り組んでいくことが、解決のための大きな力になると考えています。
都道府県別JITCO支援 中国人研修生数(08年) 合計54,889人
北海道 1,368
青森県 460
岩手県 692
宮城県 639
秋田県 559
山形県 495
福島県 871
茨城県 3,824
栃木県 1,249
群馬県 1,200
埼玉県 1,659
千葉県 1,966
東京都 1,165
神奈川県 1,120
新潟県 771
富山県 1,436
石川県 1,009
福井県 1,267
山梨県 210
長野県 1,123
岐阜県 2,970
静岡県 2,041
愛知県 4,007
三重県 2,039
滋賀県 651
京都府 472
大阪府 1,726
兵庫県 1,880
奈良県 395
和歌山県 268
鳥取県 623
島根県 640
岡山県 1,855
広島県 2,997
山口県 730
徳島県 947
香川県 1,012
愛媛県 1,529
高知県 102
福岡県 1,182
佐賀県 437
長崎県 501
熊本県 963
大分県 719
宮崎県 512
鹿児島県 595
沖縄県 13 |
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