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日中友好新聞

2009年9月5日号1面
世界一争う中国製太陽電池
可能性広がる太陽光発電

 設置する場所さえあれば、二酸化炭素や有害な廃棄物を出さず、燃料も使わず発電できる太陽電池。地球温暖化をはじめとする環境問題への関心の高まりを受け、日本でも、太陽電池普及の機運が高まっています。世界各国のメーカーが競い合うなか、今や中国企業の太陽電池生産量はトップクラス。中国発の「ものづくり」が、世界の環境産業を牽引しています。

 

ランニングコストはゼロ

 

写真1
新星電気社屋の屋上で実験中のソーラー菜園。都心部でも農作物づくりができるため、地域のコミュニティーの拠点としての活用も提案している。

 太陽光発電を利用し、雨水タンクから水をくみ上げ散水する屋上菜園や、ポンプで水を循環・浄化させて水生植物やメダカを飼うビオトープ、昼間に太陽光で蓄電し夜間に看板などを照らす照明機器…これらは、神戸市長田区の新星電気(株)社長の津田久雄さんのアイデアによるもので、「ランニングコストはゼロ」。
 「この100年の環境破壊をみれば、地球温暖化は戦争よりもっと恐ろしい。私たちも学ばなければ」と語る津田さんは、1999年に環境意識の高いドイツを視察したことがきっかけで、自然エネルギーを生かす製品の開発に力を入れ始めました。また環境問題に関心の高い企業経営者らとNPO法人「ワット神戸」をつくり、共同で製品を開発するなど、太陽光発電の普及に取り組んできました。
 津田さんが取り入れている太陽電池の多くは中国製。「5年近くテストしていますが、全く問題ありません」と、その品質を認めます。

 

中国製品へのイメージ変えたい

 

写真2
津田久雄さん

 近年、成長著しい中国メーカーのなかで、最大手となるサンテックパワー社は2001年に創業し、主に江蘇省無錫の工場で太陽電池製品を生産。高い技術力に支えられた品質と耐久性・信頼性、材料メーカーや施工業者など、さまざまな企業との提携関係を広げていく「開かれた」経営戦略で、07年に太陽電池モジュール生産シェアで世界1位、太陽電池セル(受光体となる基本部品)生産シェアでも08年に世界3位になるなど、世界トップの生産力を誇っています。
 日本では、今年8月から家電量販大手のヤマダ電機と提携し、一般家庭向けの太陽光発電システムの販売を始めました。日本でこれまで販売されてきたタイプより発電効率の高い単結晶シリコン型太陽電池を、他社製品と同程度の価格に設定。日本で初めてとなる「25年長期出力保証」を掲げ、日本国内での販売拡大を目指します。
 サンテックパワージャパン担当者は、「設置後も『長いおつきあい』をしていく上での信頼を重視しています。かつて日本の自動車がアメリカ人の日本に対するイメージを変えたように、これからは日本人の中国製品に対するイメージを変えていきたい」と意気込みを語ります。

 

「太陽電池」はきっと身近なものに

 

写真3
雨水タンクと太陽電池ポンプを組み合わせた「ソーラータンク」。1995年の阪神大震災で水道が止まり、火災による被害が広がった経験から、津田さんが考案。「災害発生時の初期消火に効果的」と語る

 日本では、太陽光発電を導入する際に、国から助成金を受けられる制度が今年1月から復活し、あわせて各自治体からの助成金も利用可能です。太陽光発電で余った電気を電力会社が買い取る制度も年内にスタートする見込みです。
 「助成金の予算に限りがあること、地域によって受けられる助成金の金額が違うなど、まだ政策が不安定ですが、携帯電話などと同じように、太陽電池が私たちにとって身近なものになる時代がきっと来るはずです」と津田さん。
 世論が政策を後押しし、助成金や税制優遇などの制度を充実させていく可能性もあり、太陽電池の普及が進めば流通、電気、建築など地域の業者にとってのメリットも広がります。

 私たちの身の周りで、中国製の太陽電池が活躍するのも、遠い未来のことではないかも知れません。(Z)

 

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