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日中友好新聞

2009年6月5日号1面
映画「嗚呼 満蒙開拓団」全国上映へ
「歴史の真実知ってほしい」
羽田澄子監督にインタビュー

 「満蒙開拓団」の悲劇を描き大きな反響を呼んだ「大地の子」に続いて、NHKでドラマ「遥かな絆」が放映されました。「平塚らいてうの生涯」「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」などの制作で知られる羽田澄子監督の演出による映画「嗚呼(ああ) 満蒙開拓団」が、6月13日の東京(岩波ホール)を皮切りに全国各地で上映されます。羽田さんに聞きました。(編集部)

 

大きな衝撃、「満蒙開拓団」体験者の証言

 

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羽田澄子(はねだ すみこ)

  1926年、旧「満州」生まれ。自由学園を卒業後、岩波映画制作所に入社し、「村の婦人学級」(57)に始まって90本を超すドキュメンタリーを制作。「薄墨の桜」(77)から自主制作に取り組むようになり、「早池峰の賦」(82)、「AKIKO―あるダンサーの肖像」(85)、「痴呆性老人の世界」(86)、「安心して老いるために」(90)、「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」6部作(92〜94)、「住民が選択した町の福祉」3部作(97〜05)、「平塚らいてうの生涯」(01)、「山中常盤」(04)、「終わりよければすべてよし」(06)など、一作ごとに話題を集める日本の女性監督のパイオニアである。

 映画は約2時間にまとめられたドキュメンタリー。その多くは、「満蒙開拓団」を体験した人びとの「証言」とその背景を撮った映像で作られています。監督自身がナレーターを務めています。
 映画の冒頭で、「中国残留日本人孤児訴訟」東京地裁の不当判決に怒り、抗議する孤児たちが登場します。映画は、この訴訟に欠かさず参加してきた羽田さんの問題意識と事実を探求する取材を前提に構成されています。
 「満州国」建設、満蒙開拓団の派遣、ソ連の侵攻、そして民間人を見捨て逃亡した関東軍の非情への憤り、置き去りにされ「お芋食べたーい、お芋食べたーい」といいながら連れ去られた妹との離別の悲しみ、凍死・餓死した4500人にものぼる遺体を処置したすさまじい体験、放置された遺骨の埋葬のために奔走し周恩来首相に「日本人公墓建立」を決断させた残留婦人の活動、養父母との再会と離別の喜びと悲しみを語る高齢となった「残留日本人孤児」など、そのひとつひとつの「証言」が大きな衝撃を与えます。そして深く胸に迫ります。

 

恨みもつ中国人が「なぜ日本人のお墓を」

 

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映画 嗚呼満蒙開拓団のワンシーン
©自由工房

 羽田さんは、旧「満州」大連で生まれ、旅順、大連で暮らしました。敗戦後、帰国してからも「旧満州の奥地で何が起こっていたのか」を知ることもなく何十年も過ぎました。
 「残留孤児」訴訟のなかで、目にした冊子「星火方正」(せいかほうまさ)を見て、中国東北ハルビンに近い方正(ほうまさ)に日本開拓団難民のために中国が建立してくれた「方正地区日本人公墓」があることを知りました。
 日本に恨みをもって当然の中国人が「なぜ日本人のお墓を」という疑問をもちました。その後2回の「方正地区公墓訪問」ツアーに参加し、精力的に証言取材を重ねました。
 「映画の筋書きはありませんでした。取材しつつ作り上げました。この人びとの体験を聞き、『人間のすさまじい人生』があったことを知り、驚きとともに自分と同世代でこんな苦労をしている人がいたという痛恨の思いと責任を強く感じました」と映画制作の思いを語ります。

 

「歴史の真実」から目をそらしてはならない

 

 映画を作りながら「日本の若い世代は歴史についてどんな教育を受けているのだろうか」という疑問と不安が大きくなりました。
 「歴史の真実から目をそらしてはならない。日本政府の責任も明らかにしなければ…。映画が日本の近現代史を考え、日中関係の大切さを考える役にたてば」と語ります。
 映画の編集をしながら「肉体的な疲れより、精神的な疲れが大きかった」と語るように、それほど辛い、重いテーマでした。
 「この映画を作ることができて、私は大きな重い宿題をひとつ果たしたような気持ちです」と締めくくりました。
(お)

 

○ 6月13日―7月末 岩波ホール(東京)
 月―金 11:30 14:30 18:30
 土・日・祝 11:30 14:30 17:30
特別鑑賞券 1500円(税込) ペア前売り券(岩波ホールのみ)2900円(税込)
当日料金(税込) 一般1800円 シニア・学生1500円 
※チケットの問い合わせ=岩波ホール 電話03―3262―5252
※自主上映 問いあわせ=株式会社 自由工房
電話03―3463―7543 FAX03―3496―4295

 

表

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