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日中友好新聞

2008年9月15日号1面
全世界は中国を知り中国は世界を知った
北京オリンピック観戦記
和食昭夫

写真
五輪開催期間中、メーンスタジアム「鳥の巣」に掲げられた聖火(和食さん提供)

 新日本スポーツ連盟の和食(わじき)昭夫理事長ら代表団が北京五輪開催期間の8月8日から24日まで北京に滞在し、競技観戦やホームステイなどの交流を行いました。和食さんのレポートを数回にわたり掲載します。

 

 初めての中国、初めての北京訪問。4年前のアテネ・オリンピックに出発する時の期待感と比べると、いささか「重い気分」を引きずっていたことは否めません。
 しかし、17日間の北京滞在とオリンピック観戦をつうじてこの「重い気分」は晴れ、さわやかな充実感をもって帰国することができました。

「平和の祭典」への大きな期待

 「全世界は中国を知り、中国は世界を知った」
 これはロゲIOC(国際オリンピック委員会)会長の閉会あいさつです。このあいさつは今回の北京オリンピックの特別の意義を端的に表現しています。これは私の17日間の北京滞在の経験からも共感できるものです。
 今回は、204の国・地域(全加盟数205国・地域)から1万2000人余の選手が参加し、アテネ大会をも上回る史上最大の国と地域の参加となりました。
 これは、聖火リレーをめぐる混乱、大気汚染、そして四川の大地震など開催前に多くの障害が指摘された中にあって、世界の人びとの「平和の祭典」としてのオリンピックへの強い期待と有効性を示すものです。
 さらに、「市場経済を通じて社会主義へ」の国づくりを進めている中国でのオリンピックの開催という新たな挑戦への期待と関心の高さを示すものにほかなりません。

メダル獲得国・地域が史上最高

 競技の面では、開催国中国が初めてアメリカを追い抜き51個の金メダルを獲得したことは、ある程度予想されていたことではありますが、大きな驚きでした。
 メダル獲得国・地域が前回よりも12増え87カ国・地域となったことも史上最高です。
 アジア、アフリカそして旧ソ連圏で独立した中央アジアの国々などに広がっていることは、スポーツの世界では政治の世界よりも早く多様な文明の共存が進みつつあることを実感させます。
 ドーピングによるメダル剥奪は2件3個あり、その根絶はさらなる重要課題ですが、前回からは大幅に減少したことは評価すべきでしょう。
 開会式の8月8日グルジアが南オセチアに侵攻しロシアが反撃するという残念な事件の報が飛び込んできました。
 同時に、競技場の中では、グルジアとロシアの選手が、フェアーに競い合い競技の後、お互いを称え合う姿に観客も大きな拍手を送っていたことは大きな救いであり希望でした。

若いボランティアの活躍

 オリンピックの会場と北京市内にはスポーツの明るさとさわやかさがありました。その大きな要因は、若いボランティアの活躍です。
 競技会場だけで7万人以上、すべての地下鉄の駅、主要な繁華街、会場周辺の交通案内などに配置された人びとは100万人を超えるともいわれています。その主力が大学生を中心とする若い青年たちです。
 各会場や地下鉄の荷物検査は確かにアテネを上回る厳しさがありましたが、その対応の中心は若いボランティアでした。そのことが、観客の理解と協力を得る上で大きな役割を果たしていました。
 なによりもこうした若いボランティアが直接外国人とふれあい世界を理解する機会となったことは、中国の将来にとっても大きな意義をもつものだと思います。

(新日本スポーツ連盟理事長)

 

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