日中友好新聞
2008年6月5日号1面
被害深刻、支援の輪大きく
四川省大地震
悲惨な現地の状況を伝える写真(新華社提供)を掲げ募金協力を呼びかける協会会員と事務局(5月22日、東京・御茶の水駅)
中国四川省で5月12日発生した大地震(M8.0で震源地は汶川県)は、5月25日現在で死者6万余人、行方不明2万余人、負傷者24万余人、家屋の倒壊約536万戸、同損壊約2143万戸という膨大な被害を記録しました。日本からさまざまな支援が差しのべられ、両国民の間に支援と共感の輪が大きく広がっています。
生活復興、めど立たず
四川省の人口は8100万人(日本の人口の約7割)、被害の最もひどい地域だけでも面積10万平方キロ(日本の国土のほぼ4分の1)、被災者の総計約4550万人というデータが、被災の深刻さを物語っています。
テント暮らしなどを強いられている多くの被災者は、当面の生活や健康に大きな不安をかかえ、緊急支援を求めています。住宅、学校、道路などの復興の課題も山積しています。
協会札幌支部で中国語を教えている留学生の高本鋒さん(25)は、地震発生直後に四川省成都に住む兄の家族の無事を確認。しかし、建物倒壊の危険から、自宅を出てテントでの生活を続けており、「まだ家に戻れるめどが立たない」と、現地の不安を伝えています。
日本の支援に関心高まる
地震直後から現地で救援の陣頭指揮に立った温家宝首相、胡錦涛主席の姿は、「破壊のひどさ、死傷者の多さ、救援の難しさ」で「歴史上まれに見る」被害(胡主席の発言)に立ち向かう国家指導部の気構えを示しました。
日本の緊急援助隊、医療チームの活躍や日本国内での街頭募金などの状況は、中国国内でも大きな関心と感動を呼び起こしました。
日ごろ対日批判が多いネットの掲示板にも、救援隊の夜を徹しての作業に「ありがとう。中国人民は彼らを絶対忘れない」、「以前の嫌悪をすて、ともに“家庭”をつくろう」など、感謝の書き込みが集まった(産経ニュース)とされます。
北京在住の根元トモオさん(「中国的生活」欄執筆者)の情報によると、北京では職場、学校、居住地、街頭で被災地援助募金が進められ、市内の主要な場所で献血活動が行なわれています。繁華街では多くの若者が献血車に長い列をつくる姿も。献血協力者には北京マクドナルドからジュースとハンバーガーが無料で配られています。
直ちに全国で募金活動
日本中国友好協会は地震発生後ただちに中国大使館、中日友好協会、中国国際交流協会、中国共産党中央対外連絡部、四川省人民対外友好協会などに見舞電を送るとともに、義援金活動を全国各地で開始しました。
田中義教理事長をはじめ協会本部役員は5月20日に中国大使館で犠牲者への弔問を行い、田中理事長が支援募金50万円を孫美嬌参事官に手渡し、「困った時助け合うのは当然のこと。1日も早い復興を」と激励しました。
北海道連合会、大阪府連、福岡県連、大分支部、長崎県連、都城支部も、それぞれ最寄りの領事館に義援金を届けました。
東京では、5月16日と22日に協会本部と東京都連の役員、事務局員らが街頭義援金活動を行いました。学校が倒壊し、子どもたちが犠牲になったとの報道に心を痛め、大人たちだけでなく、中学生や高校生などの多くも義援金に協力しました。
街頭義援金活動は、東京・中野支部、神奈川県連、神奈川県央支部、神奈川湘南支部、福井支部、愛知県連、和歌山海南支部、広島県連、福岡支部、小倉支部、大分支部、長崎県連、都城支部などがそれぞれの地域で行い、千葉支部、長岡支部、大阪府連なども義援金を集めています。
こうした活動が地元で報道され、それを見て義援金を届ける人もあいついでいます。福岡では「すばらしいことをしているんですね」と協会に入会する人も。福井、長崎では中国人留学生と一緒に募金活動を行うなかで、互いに友情を深めています。
大地震からの復興は長期的な支援が必要なことから、協会は引き続き支援募金に取り組むことにしています。