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日中友好新聞

2007年12月15日号1面

平和な未来を探る節目に
高まる国際共同研究の機運 南京事件70周年

 

写真南京理工大学の学生チームによる「龍踊り」(東京でのシンポジウム関連企画「ニーハオ!南京」で)

 日本軍による「南京大虐殺」事件から70年を迎える今年、南京事件に関する「国際シンポジウム」が世界各地で開かれ、事件が発生した12月に向け、さまざまな活動を通して歴史に目を向ける国際的な動きが広がっています。

「歴史認識」、国民はどう変える

 今年春から当の中国はじめ、アメリカ、カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、韓国などで「南京事件70周年国際シンポジウム」が開催され、さまざまな研究や学術交流が行われ、日本からも研究者・学者が参加しました。
 戦時中は日本国民に知らされなかった「南京事件」は、すでに当時から世界に知られ、国際的に批判されてきた問題です。しかし現在も日本では、憲法9条改悪の動きと同時に、南京事件の事実を否定する出版や発言が相継いでいます。
 「必ずしも国民の大多数が事実を知っているわけではない。そこへ、一部の国会議員が平然と南京事件を否定し、誤った歴史観がメディアに大量にあふれ、若者にも影響が広がっている。こうした危機的状況に対し、国際世論を喚起して状況を変えていきたい」――同シンポジウム共同代表の笠原十九司さん(都留文科大学教授、協会理事)はこう話します。
 「靖国」、「従軍慰安婦」問題もそうですが、「南京事件」は「歴史認識の問題」であり、「これは日本の政治構造の問題でもある。それを国民がどう変えていくか」と笠原さんは強調します。

中国で27巻の資料集刊行

 中国国内では南京事件の研究がここ数年で大きく発展しています。
 笠原さんは「若手研究者も加わり、資料にもとづく被害者数の特定、農村部住民の口述記録など、実証的研究がさかんに行われている。05年に28巻の南京事件資料集が刊行されたのに続き、今年27巻が出され、資料も蓄積されている」と話します。
 国際シンポジウムは、かつて第二次世界大戦で住民虐殺などを行なったドイツ、イタリアなどでも開催されました。
 「ナチスドイツのユダヤ人虐殺は有名だが、イタリアもアルバニアでのパルチザン虐殺や、エチオピアでの毒ガス使用などの過去がある。シンポジウムを通じて、こうした国際的な共同研究の機運が高まっている」と笠原さんは語ります。
 世界各国の研究者が、過去の悲惨な歴史から戦争の本質を明らかにしようとする行動の根底には、平和な未来を願う共通の思いがあります。

日本と南京、国民どうし交流

 「70周年」の総まとめとなる国際シンポジウムが12月15、16の両日、東京で開かれます。この関連企画として、文化行事「ニーハオ!南京」(協会が後援)が11月30日東京都内で開催され、750人の参加者が南京理工大学学生チームによる「龍踊り」に熱い拍手を送りました。
 01年以来、南京を訪れて平和と友好を歌で伝えてきた「紫金草合唱団」と南京理工大学との交流から実現したもの。紫金草合唱団は12日から南京、上海で第六次演奏会を行なっています。
 日本中国友好協会は「南京事件70周年 第7回平和の旅」を企画し、伊藤敬一名誉会長を団長とする本部と各連合会、支部からの参加者が、12月13日の南京事件70周年記念式典に参加。3倍の敷地面積となって新装開館した「侵華日軍大屠殺遭難同胞記念館」や市内の戦跡などを見学しました。
 また、同記念館の招待で、伊藤敬一名誉会長、大村新一郎副理事長が南京市内で13日から開かれた「2008南京国際平和フォーラム」に出席しました(詳細は続報)。

 

南京大虐殺(南京事件)
 1937年7月7日の「盧溝橋事件」以来、日本軍は中国全土に侵略戦争を拡大し、11月に上海を占領。当時の中華民国の首都・南京を目指し、陥落させれば戦争に勝てると判断し、食料補給、捕虜収容などの態勢もないまま南京に突入。略奪や強姦、民間人や捕虜の殺害などを繰り返し、12月13日の南京陥落後も周辺地域を含め広範囲に大規模な残虐行為を展開。犠牲者は20万〜30万ともいわれています。

 

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