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日中友好新聞

2007年8月15日号1面

体験者の「平和の訴え」を未来に
証言DVD「泥にまみれた靴で」発売

写真

DVD「泥にまみれた靴で〜未来へつなぐ証言 侵略戦争」(左)と「証言」ビデオ3部作(右奥)

 日本中国友好協会は、日本の中国侵略戦争を体験した元兵士たちの証言と平和を願うメッセージを収録したDVD「泥にまみれた靴で〜未来へつなぐ証言 侵略戦争」を8月1日に発売。幅広い国民を対象に普及をはかります。

 痛苦の加害体験を告白

 本作品には、湯浅謙(元軍医)、湯口知正(元特務機関員)、土屋芳雄(元憲兵)、永富博道(元特務機関員)、富永正三(元陸軍将校)の5氏が登場。中国人を生きたまま実験台にする「生体解剖」、中国人捕虜の惨殺、拷問、民間人の虐殺など、戦時中に行なった自らの行為を、痛苦の思いを込めて告白します。
 「かわいそうだとか、大変なことをやってるなんて、全然思いませんでした」(永富さんの証言)
 人道に反する残虐行為であっても、命令に逆らうことは許されないという風潮のなか、良心をもった人間が、「平気で人を殺せる」ように変えられていく構造など、侵略戦争の本質が語られていきます。
 日本の敗戦後、戦犯となった5人は、それぞれ中国側の寛大な政策のもと人間性を取り戻し、戦争放棄をうたった9条を含む「日本国憲法」が公布された戦後の日本に帰国。自らの体験を明らかにし、戦争中の犯罪行為への反省と平和への思いを語り始めます。

 若い世代へ訴え続けたもの

 協会は戦争体験の貴重な証言と事実を記録に残すため、「証言―侵略戦争」(91年)、「証言―中国人強制連行」(95年)、「証言―20世紀からの遺言」(01年)のビデオ作品を制作しました。
 その普及活動のなかでDVD作品を求める声が強まったことから、これまで収録した映像を再編集しDVD化に至ったものです。
 「戦争を繰り返してはならない」
 「憲法9条をゆがめるのは戦争をするため」
 「戦争をしようとする者を見分ける見識を身につけてほしい」
 「人を愛する心が、戦争を止める力になる。人を愛することができる人間になってほしい」
 現在、湯浅さんを除く4人の証言者はすでに亡くなっています。悲惨な戦争の実態を身をもって知る体験者たちの懸命なメッセージは、見る者の胸を打ちます。そこには、次世代を担う私たちに、この事実を現在そして未来に生かしてほしいという思いが込められています。

 平和憲法を守る運動の柱に

 DVD発売に先がけて、協会本部は7月25日、東京都内で完成試写会を開催。協会会員や市民、マスコミ関係者などが集まるなか、証言者の湯浅謙さんがあいさつに立ちました。
 湯浅さんは、「間違った歴史認識をもっている人や政治家が今の日本に多い。いよいよ戦争をする体制に入ったら、もう誰にも、どうにもできなくなる。そういう時代が来つつある。しかし多くの人がまだそれを実感していない。だから私たちは『実際の戦争はこうだった』と言い続けてきたのです」と力強く語りました。
 日本の加害事実を否定し、侵略戦争を正当化する動きや、平和の理念を掲げた日本国憲法を変えようとする動きを阻止する運動に役立てるため、協会はこのDVDを市民団体、学校関係、図書館その他の機関、幅広い個人を対象に普及活動を始めます。
 また、26分という扱いやすい時間の利点を生かし、「平和のための戦争展」をはじめ、各種集会などさまざまな場所での上映活動に取り組んでいきます。


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