1931年9月18日に中国・瀋陽郊外の鉄道線路を日本軍が爆破し、これを中国軍のしわざとした柳条湖事件をきっかけに日本は中国東北部を占領し、事実上自分たちが支配する「満州国」をつくりました。そして、1937年7月7日、中国・北京郊外の盧溝橋付近で夜間演習中の日本軍が中国軍に攻撃されたとした盧溝橋事件をきっかけにして、日本は1945年の敗戦まで中国全土への侵略戦争をおしすすめました。この15年におよぶ侵略戦争で日本軍は、南京大虐殺、731細菌戦部隊、戦時性暴力事件、燼滅掃討作戦(三光作戦)、強制連行・強制労働事件、重慶などへの無差別爆撃、遺棄毒ガス事件など、残虐な加害行為を重ね、中国、朝鮮をはじめとした2000万人をこえるアジア諸国民を犠牲にし、数多の人々に癒すことのできない傷痕を残しました。また、「聖戦」との美名のもとに、人間が人間であることを許さない戦場に日本の若者を送り込み無謀な作戦で死に至らしめるとともに、広島・長崎の原爆、沖縄戦、空襲などの被害によって310万人にのぼる日本国民が犠牲となりました。
この悲惨な侵略戦争が泥沼化していく契機であった盧溝橋事件についての報道は年々減少しています。この歴史の重要な節目が語られなくなる一方で、歴史に逆行する動きが強まっています。国会では、治安維持法の再来と言われる「共謀罪」法が、政府与党による異常なやり方での強行採決で成立し、憲法を遵守すべき安倍首相が憲法施行70年の「憲法記念日」に2020年までの改憲を明言するなど、日本を再び戦前に引き戻そうとする危険な動きが強められています。
戦争の過ちを繰り返させてはならないと訴え続けてきた日本中国友好協会は、80年という歴史的な節目に、この盧溝橋事件に至る歴史を振り返り、中国全土に拡大した戦争がさらにアジア太平洋戦争へと拡げられ、数多の無辜の民を犠牲にした原因を学び、その過ちと教訓を現代に生かすことを強く訴えます。そして、決意を新たに、日本を再び「戦争する国」に変えようとするあらゆる動きに反対し、平和憲法を守り抜くために全力をあげることを表明するものです。
2017年7月7日
日本中国友好協会(会長 大村新一郎)
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