米国のトランプ新政権は、国際的紛争解決のために軍事力の行使を含むあらゆる選択肢を除外しないことを再三明言し今年4月には化学兵器使用への対抗措置としてシリア政権軍の基地をミサイル攻撃し、北朝鮮による核実験とミサイル発射の暴挙に対しても「先制攻撃」に言及するなど、朝鮮半島の緊張を高めています。
米国の武力攻撃は、韓国のみならず、日本の米軍基地に対する北朝鮮の報復攻撃を現実のものとし、最悪の場合には核攻撃から核戦争へとつながりかねない危険を孕(はら)んでいます。安倍政権は「戦争する国」づくりを急速に進めながら、この米国との同盟関係を強化し、トランプ政権の軍事行動に無批判に追随し、国民を戦争に巻き込む極めて危険な暴走を続けています。
日本中国友好協会は、政府の行為によって起こされ、数千万人のアジア諸国民、310万人にのぼる日本国民が犠牲となった侵略戦争の事実を教訓に、庶民が犠牲となる戦争の過ちを繰り返してはならないことを訴え続けてきました。朝鮮半島をめぐる緊張は、権力者の判断が無辜(むこ)の民を戦争に巻き込み犠牲を強いる歴史の教訓を、改めて私たちの眼前に突き付けています。
戦争の過ちと教訓に学びながら国際社会が確立してきた国連憲章をはじめとしたルールを順守することなくして、真の平和を実現することは決してできません。
国連安保理決議は、北朝鮮の核兵器と核計画の放棄、米国の北朝鮮に対する攻撃・侵略の意図がないことの確認、米・北朝鮮両国の相互の主権尊重、平和共存、国交正常化への措置をとることなどを約束した「6カ国協議」の再開を繰り返し求めています。
日本中国友好協会は、国際紛争は武力ではなく平和的な話し合いによってしか解決できないことを強く訴えます。そして、核戦争につながりかねない朝鮮半島の緊張を緩和し非核化を実現するために、軍事的手段を排し、中国など関係諸国とも協力しながら、北朝鮮と米国に対して、軍事行動はとらず6カ国協議の合意に立ち戻り協議を再開するよう働きかけていくことを、日本政府に強く求めるものです。
2017年4月25日
日本中国友好協会
(会長 大村新一郎)
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