政府与党は悪名高い共謀罪を「テロ等防止法」と名称を変え今国会に提出し、成立を図ろうとしている。2020年の東京オリンピック成功のためには同法が必要だと国民に説明している。
しかし、多くの刑法学者などが反対しているように、犯罪を構成する要件も十分整えなくてもその準備をしただけ、あるいは相談をしたと見なしただけ等でも逮捕できる、憲法を無視したとんでもない悪法であり、現代版「治安維持法」とも呼ばれている。
対象犯罪が600余と広範な犯罪を含む原案に対し、多過ぎるから少なくする、等の小手先の対応を見せているが、その数が問題なのではない。
戦前も政府が戦争遂行のためには国内の反対世論は徹底的につぶさなければならないと考え、初めは「普通の国民には関係ない」として治安維持法を成立させた後、改悪を重ねていった。その間、政党は解散させられ、自由主義者や文化人、宗教者などまでも弾圧されるようになり、多くの国民は目と耳と口を塞がれたのである。
その後の事態は周知のとおり、全面的に軍部の思うままに戦争は遂行され、1937年の盧溝橋事件で中国への全面侵略戦争をはじめ、やがて世界を敵にする戦争へと拡大していったのである。
今回も政府は「組織的犯罪集団」だけが対象だと言っているが、集団の定義も曖昧で、それを判断するのは警察、検察であり、恣意的な判断や過酷な自白強要により、戦争に反対する団体だけでなく普通の国民が取り締まりの対象になることが十分考えられる。
昨年には、学者はじめ国民世論がこぞって憲法違反として反対した安保法制(戦争法)が成立し、自衛隊が世界中どこへでも行って若い隊員たちが殺し殺される状況がつくられた。
このような状況の下で戦前の治安維持法と何ら変わらない共謀罪を提出しようと企図していることは、戦争国家への道をさらに一歩進めるものであり、断固として反対しなければならない。これまで何回も提出の度に廃案にしてきたように今回も国民の共同の力でなんとしても廃案にしなければならない。
不再戦・平和友好を訴える日本中国友好協会は、共謀罪の国会提出に反対するために奮闘する。
2017年3月15日
日本中国友好協会
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