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日中友好協会(日本中国友好協会)

日本中国友好協会
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声 明


戦後70年にあたって       


日本軍国主義による中国をはじめとしたアジア・太平洋諸国に対する侵略戦争ならびに朝鮮・台湾に対する植民地支配が、日本の敗戦によって終焉した1945年8月15日から70年を迎えたいま、日本中国友好協会は、数千万人にのぼるアジア諸国民の命を奪い、310万人にのぼる日本国民が犠牲となった侵略戦争の事実と責任をあらためて胸に刻むとともに、この戦争の史実を教訓として、政府の行為によって再び戦争の過ちが繰り返されないために、戦争の「芽」となるすべての動きを阻止するために全力をあげる決意を新たにするものです。

 

いま日本では、「未来志向」を強調しながら、侵略戦争の史実と教訓から国民の目をそらせようとする動きが強まっています。14日に発表された安倍首相の「戦後70年談話」は、1995年の村山談話から大きく後退し、注目された「侵略」と「植民地支配」の文言は一般論として盛り込まれたにすぎず、日本軍国主義の侵略と植民地支配に対する反省はおろか、その事実認識をも曖昧にする内容となっています。さらに、帝国主義国間の領土獲得戦争だった日露戦争を「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」と評価するなど、日清・日露戦争に始まる近代日本の侵略・植民地支配の歴史を正当化する安倍首相の歴史認識をあらわにしています。

 

侵略国であった日本が、敗戦後に再び国際社会に受け入れられたのは、侵略戦争に対する反省のもとに日本が世界に「戦争放棄」を誓った日本国憲法の存在があったからにほかなりません。しかし、安倍首相の談話は、戦後日本の国際社会への復帰を多くの国の「寛容の心」によるものとし、日本国憲法については一切触れないという、立憲主義を無視する異常な姿勢をもあらわにしています。

 

さらに談話は、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べています。しかし、「日本は侵略戦争を反省していない」との強い疑念を招き、繰り返し反省と謝罪を求められる最大の要因となっているのは、A級戦犯を合祀し侵略戦争を全面的に美化し宣伝している靖国神社への閣僚の度重なる参拝や安倍首相による供物の奉納、そして「従軍慰安婦」や南京虐殺事件をはじめとした侵略の事実を否定しようとする政治家の発言であることを、安倍首相自身が直視すべきです。そのうえで、中国、韓国をはじめとした国際社会が日本の謝罪をあらためて求める必要のない行動を徹底してとることを、日本政府に強く求めるものです。

 

戦後70年を迎えたいま、多くの戦争体験者が他界し、侵略戦争の実態を体験者から直接聞く機会は失われつつあります。そして、戦争の記憶が薄らぐなかで、「国際貢献」「積極的平和主義」という美名のもと、米国の戦争に参戦するために日本を再び「戦争する国」に変えるいわゆる「戦争法案」の成立を急ぐ動きが強まっています。

 

日中両政府が合意した「4つの基本文書」では、「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力または武力による威嚇に訴えないこと」が繰り返し確認されていますが、「戦争法案」はこの両政府間の約束を踏みにじるものです。

 

日本中国友好協会は、「不再戦平和」の理念に立ち、思想信条を越えて「戦争だけは繰り返してはならない」と訴え続けてきた体験者の思いを受け継ぎ、その言語に絶する悲惨な体験を語り継ぐことを通して、非人道的な戦争の実態を明らかにするために力を注ぎます。そして、政府の発動による戦争で犠牲になるのは常に弱い立場にある庶民であることを強く訴えながら、日本を再び「戦争する国」にさせないために、平和を求める多くの国民とともに全力をあげるものです。

        2015年8月15日

日本中国友好協会      
(会長 長尾 光之)

 

 


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