安倍政権の再登場から2年、日本中国友好協会は、日本が再び戦争への坂道を転がり落ちる危険性を高めていることを強く憂慮し、侵略戦争の加害証言を記録したDVD「証言−侵略戦争」シリーズの上映普及や「平和のための戦争展」の開催、尖閣問題の平和的解決を求めるアピール賛同署名などを広げながら、歴史の教訓に学び、「二度と再び戦争の過ちを繰り返してはならない」と訴え続けてきました。
ナチスドイツでヒットラーの後継者とまで言われたヘルマン・ゲーリングは「もちろん普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは簡単だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者は愛国心に欠け、国を危険にさらしていると非難するだけでいい。この方法はどんな国でも有効だ」と述べました。隣国の脅威を強調し、愛国心を植えつける「道徳教育」を進めようとしている安倍首相。「憲法改正」について「ナチスの手口に学んだらどうか」と発言した麻生副総理や、「秘密保護法反対デモはテロ行為と変わらない」とブログに投稿した石破自民党幹事長。戦争を体験した自民党の重鎮たちは、安倍首相をはじめとした戦後世代の政治家たちが、歴史の事実から目を背け、再び戦争への道を歩もうとしていることに警鐘を鳴らし続けています。
言論弾圧につながるとの反対の声が巻き起こる中で、選挙公約にもなかった「特定秘密保護法」を憲政史上初の両院強行採決という暴挙で成立させた時も、歴代内閣が「認められない」としてきた集団的自衛権の行使容認を閣議決定した時も、「国民の信を問え」と求める声を無視した安倍首相が、いまそれらを全て包み隠しながら、「アベノミクス選挙」で「国民の信を問う」と声を張り上げています。
12月14日投開票の衆議院選挙で、自民と公明の与党が多数になれば、安倍首相は、「アベノミクス」の陰に隠していた秘密保護法や集団的自衛権のことも「国民は信任した」と主張し、反対の声に耳を傾けることなく、念願としている「憲法改正」と国家に忠誠を誓う「愛国心教育」を強引に押し進めていくでしょう。
DVD『証言−侵略戦争』を観た高校生から寄せられた、「このような映像を見たのは初めて。侵略戦争はなかったと言う人たちがいるが、このような映像がある限り、証言をする人がいる限り、『侵略戦争はなかった』とは言えない」「とても怖い映像だった。でも知らないでいることはもっと怖いと思った」などの感想に見られるように、侵略戦争の事実を知らされていない世代が増え、歴史をねじ曲げる言論が強まる中で、侵略の一端を担ってしまった悔恨から自らの加害体験を語り続けた元日本兵たちは、「過ちを繰り返してはならない。憲法9条をゆがめるのは戦争をするため。政府が国民をだまそうとするのを見破る力をもってもらいたい」との言葉を遺していきました。
戦争か平和か、歴史の進歩か逆行か、歴史的な分かれ道に立ったいま、安倍首相が挑んできた衆議院選挙で、国民がいずれの道を選ぶのかが問われています。
若者たちが再び「殺し殺される」ことのない社会を守るために、私たち日本中国友好協会は、これまでの2年間に安倍政権が行なってきた数々の行状を思い起こし、衆議院選挙で安倍政権を不信任とする明確な意思表示を行なうことを、広く有権者に呼びかけるものです。
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