日中友好協会(日本中国友好協会)

日本中国友好協会
〒101-0065
東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会ビル3F
Tel:03(3234)4700
Fax:03(3234)4703
HOME > 公式見解 > 「名古屋市長の南京事件否定発言など侵略戦争の正当化と戦前回帰を許さない」決議

公式見解

「名古屋市長の南京事件否定発言など
侵略戦争の正当化と戦前回帰を許さない」決議

 名古屋市と友好都市関係にある中国・南京市の共産党幹部との会談での、「南京大虐殺はなかったと思う」との河村たかし名古屋市長の発言は、歴史の真実を歪曲し、名古屋市と南京市の友好都市関係はもとより、日中両国民の相互信頼を損ねる暴言と言わざるを得ません。
 南京虐殺事件については、南京攻略戦に従軍した日本軍兵士などの証言や当時の日誌、さらには多くの研究者の手によって実態が明らかにされ、日中両政府の合意で重ねられた「日中歴史共同研究」においても「大規模な虐殺があり、日本側に責任がある」ことが確認されています。
 日本は、中国をはじめとしたアジア諸国民に未曾有の惨禍を与えた侵略戦争の反省に立ち、二度と再び同じ過ちは繰り返さないと誓った平和憲法のもとで、国際社会への復帰をはたしました。南京虐殺事件は、日本の中国に対する侵略行為のなかの代表的な事例であり、河村市長の発言は、国際社会が共有する歴史認識を真っ向から否定するものであり、国際社会の日本に対する信頼を著しく損ねる状況を招くものとなっています。
 大阪では、橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」が、侵略戦争の教訓から憲法が禁じてきた「公権力の教育への介入」を意図的にすすめています。そして、この「大阪維新の会」は高い支持率に支えられており、一部の政治家の突出した言動に止まらず、戦前回帰と侵略戦争正当化の動きが広がりつつあることに、強い懸念を抱かざるを得ません。
 侵略戦争を正当化する動きは、かつての侵略戦争を体験した世代が少数になるにつれて強まっています。さらには、日本で深まる閉塞感のなかで、既存の社会を変える人間を求める「英雄待望論」が広がっているとも指摘されています。国際社会は、かつての「英雄待望論」がヒットラー率いるナチスの台頭とファシズムを許したことを、歴史の教訓としています。この歴史の教訓に背を向けた言動が、名古屋、大阪をはじめとした日本の各地に広がり、再び国民をファシズムと戦争の道に引き込む動きを助長することを強く危惧します。
   日本中国友好協会は、河村たかし名古屋市長に対し、南京事件否定発言を撤回し、正しい歴史認識に立つことを求めるとともに、侵略戦争の事実を語り伝える不再戦平和活動を全国各地で展開し、大阪や石原知事の東京など各地で強められている公権力の教育への介入や侵略戦争を正当化する動きを許さない世論を高めるために全力をあげることを、ここに決議するものです。

 

 2012年3月18日

 日本中国友好協会第60回大会期

 第3回常任理事会


[一覧に戻る]