日中友好協会(日本中国友好協会)

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公式見解

映画「靖国 YASUKUNI」の上映妨害に抗議する

 4月12日から公開される予定だった日中合作映画「靖国 YASUKUNI」は、上映を予定していた5つの映画館が中止を決めた。
 上映中止に追い込んだのは、上映予定館に対する右翼団体の卑劣な嫌がらせであり、一部の国会議員による公開前の試写の強要など、事前検閲にも等しい政治的な圧力も加えられている。
 映画評論家をはじめとした多くの識者と、試写を強要したとされる当の政治家さえもが評価しているように、靖国の「刀匠」の姿を柱に8月15日の靖国神社の情景を淡々と描いた映画の内容には、上映中止を強いる理由が何らないことは明確であることから、今回の圧力は「靖国」をテーマとすることそのものを許さない、言論と表現の自由に対する重大な挑戦と言わざるを得ない。
 マスメディアや報道関係者の多くが強い懸念を表明している今回の事態は、世界から指弾された教科書問題、歴史認識問題の再来ともいえる重大なものであり、先の大戦が反ファシズム戦争であることを明確にしている国際社会に対し、日本社会が日本軍国主義の過ちを否定しているとの誤ったメッセージを伝え、世界のなかで日本を孤立に追い込む危険をもはらんでいる。
 言論と表現の自由は平和と民主主義の基本であり、この自由が侵された今回の事態は、国民を再び暗黒の時代に引き戻す流れを作り出すものであり、けっして看過することはできない。加えて、上映を自粛した一部の映画館と映画会社の姿勢は、表現の自由の映画人自身の否定であり、この風潮の広がりが「物言えぬ」社会へとつながることを憂慮する。
 日本中国友好協会は、戦前戦中の言論弾圧を彷彿とさせる今回の異常な事態を深く憂慮し、右翼団体の卑劣な妨害と、上映中止を意図した政治的な圧力に、満腔の怒りをこめて抗議する。

 

2008年4月3日

日本中国友好協会(会長 長尾光之)


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