公式見解
歴史を否定する「教科書検定」結果に抗議する
(協会声明)
文部科学省は4月5日、来春から使用される中学校用教科書の検定結果を発表した。侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集された歴史と公民の教科書が合格し、「慰安婦」の記述は全ての教科書から消え、「強制連行」など侵略戦争における加害の事実に関する記述が大幅に減った検定結果は、検定制度によって教科書の内容に政府の意向が強く反映されている現状においては、文部科学省ならびに日本政府が、歴史の事実をねじ曲げていることを明らかにするものと言わざるを得ない。日中友好協会は、歴史を否定する今回の検定結果に強く抗議する。
中国側の抗議を受けた阿南惟茂駐中国大使は、教科書検定の「制度の違い」を強調したが、問われているのは、侵略国であった日本が、ドイツ、イタリアとともに国際社会の一員に復帰する上での国際公約とも言える戦争の反省と「不戦」の誓いを、今日において守るか否かという一点にある。今回の検定結果は、日本の侵略によって多大な被害を受けた中国、韓国が最も重視している歴史認識問題解決への願いを真っ向から否定するものであり、両国民の感情の悪化を強めるものとして、けっして容認することはできない。
歴史の真実を未来を担う子どもたちに伝えることは、いま生きるものの責任である。日中友好協会は、歴史の真実を伝える教科書の編集を求めるとともに、侵略戦争を正当化する教科書の採択を許さない運動に全力をあげることを表明する。
2005年4月11日
日本中国友好協会(会長 伊藤敬一 )
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