公式見解
「戦前回帰」思わせる政治統制
NHK「慰安婦」番組介入で協会が声明
NHK「従軍慰安婦」番組への政治介入に強く抗議します
NHKが2001年に放送したETVシリーズ「戦争をどう裁くか」の第2回で、従軍「慰安婦」問題を扱った「裁かれた戦時性暴力」の内容が大きく変えられた問題で、これが安倍晋三内閣官房副長官(当時・現自民党幹事長代理)と中川昭一衆議院議員(現経済産業相)のNHKへの圧力によるものであることが、1月13日、この番組のデスクであったNHKの長井暁プロデューサー(現チーフ・プロデューサー)の告発によって明らかになりました。
圧力の結果カットされた部分は、昭和天皇の戦争責任はじめ、中国人被害者の紹介と証言、加害兵士の証言など、いずれも、番組の決定的部分と考えられます。
これは、日本の日中戦争を含む第2次大戦における戦争犯罪の歴史を覆い隠し、戦争を美化するために、官房副長官が、国民の言論・表現の自由を保障し、検閲を禁止している憲法21条に違反し、また放送法にも違反して、NHKの番組に事前検閲、介入をおこなったものとして、重大であり、強く抗議するものです。中国への侵略戦争の歴史を教訓として、「不再戦平和」のために一貫して努力してきた日中友好協会は、このような経緯を憂慮し、問題の徹底的な糾明を求めます。また、放送内容の改変を現場に強要したNHK幹部の責任も大きく、私たちは、NHKが政府に迎合・癒着することなく、報道の自主性を貫くよう、強く求めるものです。
日中友好協会は、このような乱暴な、「戦前回帰」を思わせる言論統制が、とりわけ現在イラクで行なわれているような、日本を再び「戦争をする国」に変えようとする動きの中で行なわれていることに対し、憂慮します。「日の丸・君が代」の強制、「新しい歴史教科書をつくる会」など侵略戦争美化、教育基本法の改悪と憲法改悪などをめざす動きは、すべてつながっています。私たちはこれらを阻止し、憲法9条をまもり、平和五原則を基礎とする国際関係を築くために奮闘するものです。
2005年1月17日
日本中国友好協会(会長 伊藤 敬一)
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