公式見解
日本中国友好協会会長談話
小泉首相の靖国神社参拝に抗議する
一 小泉首相が四月二十一日、靖国神社参拝を強行した事に強く抗議します。
靖国神社は戦前、軍国主義と侵略戦争推進の精神的支柱でした。戦後も、こうした立場 を継承し、しかもA級戦犯を合祀しています。このような神社への内閣総理大臣の参拝は、 どのような理由、時期であろうと、侵略戦争肯定の態度を公式に宣言することにほかなり ません。同時に憲法の政教分離の原則を犯すものでもあります。
一 有事三法案の国会提出と軌を一にした小泉首相の今回の行動は日本を「戦争をする国」 に変える策動と一体のものである事を内外に示し、三法案の危険な実態を改めて浮き彫り にしました。有事法制の戦前版−−「国家総動員法」の制定(一九三八年)が中国侵略戦 争の本格化(一九三七年)と一体であった過去の歴史を想起させます。
一 小泉首相は昨年八月十三日の靖国神社参拝で、中国およびアジア諸国民から大きな批判 を受け、同年十月の訪中のさい「おわび」を口にし、過去の侵略への反省を表明しました。 今回の重なる同神社参拝は、昨年の反省が口先だけのものにすぎなかった事を自ら露呈し ただけでなく、国際信義を裏切る行為として中国およびアジア諸国民のいっそう厳しい非 難にさらされています。
一 今年三十周年を迎える日中国交回復の日本側の原点は、過去の侵略の反省に基づく両国 間の平和共存関係の構築でした。小泉首相の言動は、この原点を損ない、三〇周年の意義 を大きく傷つけるものとなりました。
一 創立以来「日中不再戦」の旗を掲げる日本中国友好協会は、正しい歴史認識にもとづき、 侵略戦争美化のいかなる逆流をも許さず、真に平和で友好的な日中関係を発展させるため 今後とも力を尽くす決意です。侵略戦争の根本的反省にたって、戦争の過ちを繰り返させ ない事こそが、戦没者を追悼する真の道であると確信します。
2002年4月22日
日本中国友好協会 会長 伊藤敬一
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