公式見解
21世紀の友好と平和のために、戦争ではなく理性に基づくテロ根絶を!
―米国での同時多発テロ事件と報復戦争の動きに関する日本の6国際団体共同声明―
米国で起きたさる9月11日の同時多発テロは、罪のない数千の市民を殺傷し、家族・関係者の言語に絶する深い悲しみをもたらした。犠牲者に対しあらためてここに、心から哀悼の意を表する。このような野蛮なテロ行為は、国際社会の平和と安全に対する攻撃であり、人類全体に対する攻撃とみなさざるをえない。
この憎むべきテロ行為を組織した犯人は、周到な捜査によって追及し、国際法に基づく厳正な処罰を加えなければならない。また、テロ集団に武器や資金を提供するという関係を根絶しなければならない。これらは世界諸国民の協力によって、国連を中心として国際法にのっとり理性をもって行う必要がある。
このテロ行為に対し、大規模な報復戦争を仕掛けようという動きがある。米国のブッシュ大統領は、すでに戦争状態に入ったとして、アフガニスタンなどに対する大規模戦闘行動を準備している。これに無条件で従おうとする日本の小泉首相は、報復戦争への協力にひた走り、自衛隊の海外派遣と米軍支援を急いでいる。報復戦争は、テロをなくすために有効でないばかりか、世界に新たな分裂と戦争をもたらし、さらに激しいテロと報復戦争の悪循環をつくり出す。その結果、数十倍、数百倍の一般市民が犠牲となるおそれがある。
このような報復戦争の動きに対し、多数の国々は慎重な姿勢を保っているし、国際世論は圧倒的に理性のある対応を求めている。たとえばギャラップの行った31カ国の世論調査では、欧州諸国民の約8割、南米諸国民の約9割が、軍事攻撃よりも容疑者の引き渡しと処罰を求めている。軍事攻撃への支持が多かったのは、米国の54%とイスラエルの77%だけであった。
われわれは第二次世界大戦後50年近くにわたって国際友好運動に携わってきた。その経験に基づいて、われわれは、平和と民主主義と人権を守るという基本的な立場に立って、21世紀には戦争のない、すべての国民が理解、協力しあう友好的な国際社会をつくり出さなければならないと考える。また、われわれが交流連帯の相手としているアジアを中心とした世界諸国民との各種の日常的な交流にもさまざまな影響が出ており、交流中止のやむなきに至っているという事態も生まれている。これを深く憂慮する。
国際友好・連帯をさらに強化しようとしているわれわれは、テロ行為と報復攻撃に反対する声を、日本国民と各国国民の間に広めてゆくよう尽力する。それとともに、テロの根絶をめざして、その社会的な根源を追究し、世界から膨大な収奪と貧困を追放し、すべての紛争を法と理性によって解決するような国際社会をつくりだすことに努力する。各国政府にあっては、今回の同時多発テロ事件に対して、国連憲章の精神に基づき、国際法にのっとり理性的に解決するよう、国際政治の舞台で努力されることを強く希望する。
2001年10月6日
日本ユーラシア協会 会長 藤田 勇
日本中国友好協会 会長 伊藤敬一
日朝協会 代表理事 川合 章
日本ベトナム友好協会 会長 伊藤吉紀
日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会 理事長 秋庭稔男
日本キューバ友好協会 理事長 岡部廣治
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