公式見解
台湾・李登輝前総統へのビザ発給について
日本政府は、台湾の李登輝前総統へのビザ(査証)発給を正式に決め、李氏は4月22日に来日しました。伊藤敬一日中友好協会会長は4月21日、次のような「談話」を発表しました。
(一)この問題で、日本政府に問われているのは「一つの中国」の立場を守りぬくかどうかということです。日中間では、1972年の日中共同声明で、日本が「中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする「中国の立場を十分理解し、尊重する」と表明しています。この国際的な原則を守ることこそ重要です。日本は、1895年の日清戦争後の日清講和条約(下関条約)で台湾を併合し、植民地にしました。そして「日本国が清国人より盗取したすべての地域を中華民国に返還する」とした1943年のカイロ宣言と、それを確認した1945年のポツダム宣言にもとづいて、台湾を中国に返還した歴史的経緯があり、特別に責任が重いと考えます。日本政府はこの立場を厳格に守ることが重要です。
(二)李登輝氏は、総統時代に中国と台湾は「国家と国家、少なくとも特殊な国と国との間の関係」と主張する「二つの中国論」を唱えていました。李氏は、台湾の独立を主張する勢力の代表格としての役割を担っていました。したがって、総裁をやめた現在も、政治家、公人としての性格を持っており、全くの「私人」とはいえません。また「心臓病の検査」を来日の最大の目的にあげていますが、台湾の情報(中央通信社・4月10日電)では、主治医の連文彬台湾大学医学院内科教授が「李氏の健康状態は良好で、なぜすぐ日本で治療する必要があるかについては知らない」と述べています。また李氏は、五月はじめにアメリカ訪問を予定しており、検査が必ずしも緊急のものとは考えられません。「訪日は、100パーセント政治目的だ」と、李氏と交友のあった王作栄・前監査院院長の談話も報道されています。
(三)協会は、国際的な原則である「一つの中国」の立揚を堅持し、日中関係の平和的安定的発展のために努力することを改めて表明するものです。
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