日中友好協会(日本中国友好協会)

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HOME > 私と日本 > 2015年10月5日号

私と日本〈107〉

 

早稲田大学院生


張 龍龍さん

 

「中国帰国者2世問題」が研究テーマ

 

 中国山東省の農家に生まれた。幼いころから「大学で教鞭を取りたい」と考え、青島大学・下関市立大学(山口県)を経て、現在、早稲田大学大学院で学んでいる。「早稲田」は中国では「憧れの学び舎」である。
 いま博士課程の後半で「中国帰国者2世の社会移動とエスニシティ変容」を研究テーマに励んでいる。帰国者2世は戦争の犠牲者の1世とともに帰国し、中日文化の狭間で苦労している。「言葉や仕事の問題」「日本人との交際」など1世以上の深刻な問題を抱えている人も少なくない。
 この問題をきちんと研究することは「戦争の問題を後世に伝えていくうえで重要な意味がある」と考えている。
それには、大量の聞き取りが必要だが、中国帰国者を1人も知らず途方にくれていた時、送ったメールに真剣に対応してくれたのが協会福岡県連の星野信事務局長だった。
 以来、山口から福岡へ足繁く通い「中国帰国者訴訟」弁護団との関係もできて、「研究テーマの完成」にも道が開けた。
 家庭からの仕送りがない日本での生活は厳しい。早稲田への入学経費はアルバイトで稼いだが上京費用もままならない時に経費を捻出してくれたのは日中友好協会下関支部の金田事務局長および心温かい下関市民だった。
 下関市立大学の吉津直樹学長からは、毎月3本以上の原稿添削に協力を得ている。張さんにとっては「魯迅の藤野先生」以上の存在である。「博士号を取り、日本か中国の大学で教鞭を取りたい」という夢が現実になろうとしている。

(宣)


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