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私と中国〈924〉

古月(ふるつき)商事有限会社代表取締役
中国残留孤児2世


小野 隆輔(たかすけ)さん

 


感謝の恩返し
「3世、4世ない社会を」

 1987年11月に残留孤児だった父と、中国人の母、6人兄弟のうち独身だった3人と共に日本に帰国した(結婚していた長兄と長姉は2年後に家族と共に自費帰国)。  中国残留孤児自立支援施設で半年過ごし、その後、東京・足立区の都営住宅に落ち着いた。23歳で幼馴染の中国人女性と結婚。トラック運転手、貿易会社の営業、町工場で医療器具の溶接板金など、職を転々としたが、一念発起して電気工事士2種の免許を取得。  しかし、その直後にエレベーター工事で親指を切断してしまう。治療し元通りになったが、「子どもたちを養えなくなる」と、「その場で自殺しようと思った」と当時を振り返る。父親は帰国後6年目に病死した。今でもとても尊敬している。  2000年に古月商事有限会社を設立。社名は中国姓の「胡」からとった。不動産、リサイクルショップ経営、不用品処分、中国ほか東南アジアやアフリカへ新・中古家電、鉄・非鉄金属の輸出など手広く展開、今では年商4億の会社に成長した。  今年8月、NPO法人中国帰国者の会の事務所移転の際、100万円を寄付した。「中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長」で、帰国の際の保証人だった河合弘之弁護士から資金不足だと相談され、「恩返しの念と、戦争で帰国できなかった人たちを助けたい」と。  「帰国者は中国の田舎の人が多い。学歴もなく、3Kなどの仕事しかない2世もいる。親の面倒も見られない。次世代までも最下層になりかねない」と、危機感を募らせる。「3世、4世などない社会をつくりたい」。  中国黒龍江省鶏西(けいせい)市出身、68年生まれ。妻とアメリカ留学中の2人の息子と8歳の息子の5人家族。

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