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私と中国〈853〉

菅本 麻衣子さん写真 日中友好協会

敦化遺棄毒ガス被害事件弁護団
菅本 麻衣子さん

 

被害回復が本人の人生で第一

 東京大学に入学した1995年は戦後50周年に当たり、中国や韓国の人びとが戦争被害を告発し、日本の戦争責任を追及する動きが活発なときでした。
 大学サークル主催の湯浅謙さんと南典男弁護士の講演で、自らの罪を語る湯浅さんの姿勢や、研修旅行先の南京で「南京大虐殺」被害者の李秀英さんたちが「事実を伝えなければ」と力強く証言した姿に心を打たれ、「弁護士になって戦後補償問題に関わりたい」と思うように。
 03年、5度目の司法試験で合格。遺棄毒ガス被害事件との出合いは司法修習生時代。05年10月に弁護士登録し、その2カ月後には遺棄毒ガス被害調査のため中国吉林省敦化市へ。
 「遺棄毒ガス弾で被害を受けた2人の少年は健康被害のほかに、いじめや差別に遭い、将来への不安を抱えた状態。被害回復が本人の人生にとって第一のはず」との思いを強くしました。
 帰国後、日本政府に今後の医療支援と生活保障を求めて交渉を開始しますが、政府は拒否。08年に東京地裁に提訴し、約4年に及ぶ審理の末、今年4月には被害者の請求を棄却、政府の責任や義務を認めない不当判決という結果に。
 「今までの主張を無視した判決が出るとは予想外でした。辛い思いをしました」と振り返ります。
 現在、東京高裁に控訴し、次の裁判に向け準備中です。「非常に危険なものを捨てた責任は日本政府でとらなければならない。日本人にもっと理解してもらいたい。被害に遭った少年たちには他の子たちと変わらぬ人生を歩んでほしい。そのためにも弁護団が一丸となって壁を乗り越えていかないと」と、語ります。(押)

 

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