日中友好新聞(2018年5月25日号)
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日中友好新聞
半世紀の伝統を反映
表現の美競う作品の数々
第50回全国きりえコンクール
前田尋(ひろし)
最優秀作  「マンリンさん」  藤井恵美子
日本中国友好協会会長賞  「それぞれの4月」  宮下紀代美

  1967年に日中友好協会の機関紙「日中友好新聞」で「きりがみ紙上コンクール」が山本光男氏や武田祈(もとむ)氏を中心にして始まりました。その後、半世紀に及ぶ、きりえ創作活動の歴史にコンクールは関与して大いに寄与してきました。
 それ以前、58年に「中国の剪紙(せん し)」、69年に「中国民間剪紙」の小冊子を発行して、中国の民間工芸剪紙の美を紹介してきましたが、これに習う形で日本独自の絵画表現として始めたのが、創作きりえでした。
 以来50年、きりえ美術は絵画表現として定着したと言えるでしょう。2012年には、中国揚州市でコンクール優秀作品展を開くこともできました。

12府県から70点の応募
 今年の第50回全国きりえコンクールは、12府県から44人が70点の応募となりました。昨年より7人、9点多く集まりました。
 4月21日の審査会では、全作品を会場いっぱいに並べて見ることから始めました。全体を見わたせば、祭りや人物、日常の生活を謳歌する様が、多様に力強く表現されています。最初に入選作品を選び出し、その中から佳作以上の作品を12点取り上げ、さらに投票で優秀作6点を選び、投票のうえ、話し合いを重ね、最優秀作、日本中国友好協会会長賞を決定。最後に準入選とした作品を再度見て、入選とすべき作品を選び直しました。
美しさ抜群の最優秀作
 最優秀作となった藤井恵美子さんの「マンリンさん」。豊田市足助(あ すけ)の古い民家を活用した書店、土蔵造りのドッシリとした建物入口を看板や植物、椅子や花とともに、抑えた色調で描き、白黒の美しさが際立っています。
 日本中国友好協会会長賞は宮下紀代美さんの「それぞれの4月」。3人の子どもたちが幼稚園や小学校入学を迎えての記念のポーズ、年長のお姉ちゃんがポーズをうながす、3人3様の心模様が見えるようです。
優秀作4点の出来栄え
 優秀作は4点。伊與田博さんの「出陣」、草次三樹さんの「やきもの道」、佐野和俊さんの「船だまり」、岸本幾代さんの「実演販売」です。
 「やきもの道」は最優秀作と争うほどの構図のうまさでしたが、屋根の表現にもう一工夫必要かと思いました。
 「出陣」は時代祭り行列の出発式でしょうか。撮影の人を手前に配した構成が面白い。
 「船だまり」は5、6艘の船の並びを描いて類型的になっていない、線が生きている。
 「実演販売」は、ケーキを作るパティシエを大きく捉え、人物像を楽しく見せている。
 佳作6点も劣らぬ素晴らしいものでした。
 50年のきりえ作りが目指したものを見る時、1980年の画集「きりえのあゆみ」で安野光雅氏が言うように、剪紙から出発した「伝統の制約の中にきりえの意味も隠され、そこからきりえの世界が拓(ひら)けてくる」という言葉についても今一度考えてみたいものです。(きりえ委員会委員長)