日中友好新聞(2018年5月5日号)
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日中友好新聞
東北アジア平和協定への展望を
南北・米朝会談から

丸山重威
「米朝首脳 会談へ」の見出しで報じる「しんぶん赤旗」(2018年3月10日)
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が訪中、
習近平国家主席との会談を報じる「人民日報」(2018年3月29日)

 

平昌五輪をきっかけに
 2月の平昌(ピョン チャン)五輪を契機にして、朝鮮の南北首脳会談と、米国と北朝鮮の首脳会談が決まった。「北」の金正恩(キム ジョン ウン)委員長は中国を訪問、ロシアには李容浩(リ ヨン ホ)外相が訪問、朝鮮半島情勢は一挙に融和の方向で歩み出した。
 これに対し、日本政府やメディアは「北朝鮮にまた騙(だま)されるのか」「本当に不可逆的な非核化ができるのか」など懐疑的な論調を流し、水を掛けている。
 しかし、私はこれを契機に、南北融和の中で朝鮮戦争が終結し、朝鮮も統一への気運が高まり、併せて日本の周辺、東北アジアの「非核・不可侵・不戦」の多国間平和協定を目指す道筋が生まれてくることを期待したい。
 今年は日中平和友好条約40周年。ここで歴史の歯車を一つ前に進めたい。
南北から米朝へ
 そこで冷静に見たいのは、南北会談と米朝会談は、密接に結びつき、これが朝鮮半島の平和構築のカギとなっていることだ。
 まず、南北会談は、いま現実の2つの政権相互の融和の促進だ。
長い分断と戦争の経験を経た両国の首脳会談は、2000年6月と07年10月の2回開かれたが、2回目の盧武鉉(ノ ム ヒョン)・金正日(キム ジョン イル)会談では、「統一」方式も話し合われ、双方の制度を変えないで「連合」「連邦」方式を基礎とすることが確認された。
 最初にテーマになるのは、朝鮮戦争の後始末だ。離散家族など南北にも問題があるが、米朝首脳会談では核問題だけでなく、休戦協定から進んだ平和条約も論じられよう。米朝の「正常化」で、平和の歩みは大きく進む。
非核化ロードマップ
 次に問題は「非核化」だ。「不可逆的で検証可能な」といわれているが、1回2回の米朝会談で決着が着く問題ではない。
4月18日付毎日新聞は、日本政府が2020年までの非核化を要求すべく米、韓と調整に入った、と報じたが、米国が核放棄への道筋を示すのなら、とにかく、北朝鮮に20年までの非核化を求めるなど、技術的にも無理難題。会談へのハードルを高くし、会談を成功させまいとする「妨害工作」とさえいえる。
 朝鮮半島非核化には少なくとも数年ないし十数年くらいの長いスパンが必要で、第1回首脳会談では、「非核化」に向けてのロードマップが確認されれば、大成功だ。
つまり、核の放棄の要求は「北」だけでなく、米・中・露など核保有国も含め、究極的には「核兵器禁止条約」が全世界で確認されなければ説得力をもち得ない。従って、当面は「核兵器の不使用」であり、まず地域の「非核」協定だ。
 具体的には、中・露が保障し、米国と南北朝鮮による朝鮮半島の「非核・不可侵・不戦」の協定への道が開けば、東北アジアの非核・不戦条約の検討も課題になる。
 既に世界には「非核地帯」が、中南米、南太平洋、東南アジア、アフリカなど南半球の全域を包むように広がり、モンゴルの非核地帯も確認された。朝鮮が非核地帯化できれば歴史的成果である。
問われる日本外交
 さて、そこで問題は日本だ。「トランプ政権と100%一致している」と公言、「圧力」一辺倒の政策を取ってきた日本の安倍政権は、どこからも声はかからず「孤立」状況だ。
 冷戦時代、日本は西側陣営の最前線としての役割を負わされ、日米安保条約の下で「米国一辺倒」の外交政策を取ってきた。
 しかし、核兵器さえ小型化し、「戦争はもうできない時代」に入った現在、朝鮮情勢の劇的な変化は、日本外交に根本的な転換を迫っている。
 日本外交の基軸は、憲法前文と第9条であり「核も戦争もない世界」である。そこに向けて声を広げていこう。(ジャーナリスト)