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HOME > 日中友好新聞 > 2017年5月5日号

日中友好新聞

生き生きとした暮らしの表現 創作意欲あふれる作品ぞろい
第49回全国きりえコンクール
  前田 尋


 

shinbun

最優秀作 「木漏れ日」 杉本明美




 今年も日中友好協会本部事務所を会場に4月15日、第49回全国きりえコンクールの審査会が開かれました。



61点の作品が一堂に


「大人の部」は、昨年に比べると、やや少ないものの、9府県から37人61点の作品が寄せられました。全作品を一堂に並べてみると、この1年の出品者の皆さんの創作への熱い思いがふつふつと沸いてくるようです。
 来年50回を迎えようとするコンクールの歴史、そのテーマは一貫して、生活と暮らしの中にありました。地域とのかかわり、祭り、季節ごとの自然の移ろい、子どもたちが生き生きと成長する様子。
 私たちは、毎日の暮らしの中でテーマを発見し、きりえという技法のもとに表出してきました。それは、きりえでしかできない表現であり、きりえでこそ形を成すテーマなのです。



毎日書く日記のように

 毎日書き続ける日記のようなものだから、描こうとする作者の視点こそが、見る人の関心を引きつけてやまないのでしょう。
 最初に、47点の入選作を選びました。準入選とした作品も力いっぱい描かれており、選択に迷うものも多くありました。入選作の中から12点の佳作以上が選び出されましたが、これらを壁面にずらりと並べてみますと、さすがにきりえの楽しさ、力強さ、ほのぼのとした温かさが感じられるものばかりでした。その中から6点の優秀作が選ばれ、さらに最優秀作1点と日中友好協会会長賞も選び出されました。



最優秀作「木漏れ日」

 最優秀作に選ばれた、岐阜県の杉本明美さんの「木漏れ日」。
 画面の半分を占める地面に木漏れ日の光と影を表現し、両側に民家の壁と生垣、奥の点景でこちらへ向かう、犬を連れ散歩する女性を描きました。5月ころの爽やかな風を感じさせる作品に仕上がりました。
 日中友好協会会長賞には、愛知の早瀬ふさこさん「わたしの17才をもどして下さい」。
 今も続く従軍「慰安婦」問題をテーマとした重い作品です。拉致される少女の驚きを明るい彩色で描いた絵を手に訴える8人の被害者。嘆き悲しみ、また怒りを露(あら)わにする女性たちは無彩色で、その対比の中に回復されない被害の思いを伝えようとしています。
 優秀作、岡山の岸本幾代さん「軒先のダンス」。横長に広がる画面一杯に軒先に吊るされたカラフルなTシャツが風に揺れています。暗い店の奥にも商品が並び、入口の看板や植木が、歩いてみたい露地を思わせます。
 愛知の亀田達子さん、「秋、届いたよー!」。おじいちゃんと2人の孫が、届けられたブドウを手に破顔の嬉しさを表わしました。生き生きとした表情にこちらも嬉しくなります。
 愛知の山本宰子さん「踊りの合間に」。お祭りの屋台の上でしょうか。漆塗りの欄干の前に4人の子どもたちが、鮮やかな着物を着て並んでいます。高揚した感情が見る方にも伝わってきます。
 愛知の安藤一代さん「義経千本桜」。歌舞伎の物語をテーマに3人の人物を組み合わせました。何とも豪華な衣装や小道具、狐や桜を配して派手やかな作品づくりは、作者も制作中はさぞ楽しかったろうと思わせます。

(きりえ委員会委員長)




shinbun

日中友好協会会長賞 「わたしの17才をもどして下さい」早瀬ふさこ




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