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HOME > 日中友好新聞 > 2016年11月5日号

日中友好新聞

「中国の脅威」理由に画策
南西諸島の要塞化と日本の針路
上里賢一


 

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7月21日午後、東村高江・県道70号線での抗議集会



日本列島の尻尾の先に

 日本の地図を広げると、北海道から与那国島まで南北ほぼ3000㌔もの列島になっている。南西諸島は、屋久島の南の薩南諸島と琉球諸島からなり、本州と同じくらいの1200㌔の孤状列島であり、かなり広い海域を有している。北海道を頭とすると、南西諸島は日本列島の長い尻尾のようだ。
 日本地図では、琉球列島は外枠か欄外に示されることが多い。そのため、沖縄が日本列島のどの位置にあるか分かりにくいことがある。
 南西諸島の中で一番大きい島が、沖縄本島である。その沖縄本島から南へ約300㌔の所に宮古島があり、宮古島から約130㌔の所に石垣島がある。宮古郡島と石垣島を中心とする八重山群島を合わせて先島という。文字通り尻尾の先っぽである。



自衛隊にミサイルも

 その尻尾の根本から先っぽまで、南西諸島全体の軍事基地化が急激に進んでいる。「中国の脅威」に備えて島嶼防衛力を強化するというのが、安倍政権の理由である。辺野古の新基地建設、高江のヘリ・オスプレイ離着帯建設と並行して、奄美、宮古、石垣、与那国へ自衛隊とミサイル配備をしようというものである。
 与那国島には、すでに今年3月に160人が配備され、奄美も準備が進んでいる。宮古と石垣では、配備予定地の住民が激しく抵抗している。
 自衛隊誘致派は、その理由に尖閣周辺からの中国公船の排除、漁場の安全確保、島の活性化をあげる。反対する側は、尖閣を含む南西諸島地域の非軍事化、中国との話し合いによる尖閣周辺での安全操業を確保すべきという。




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南西諸島

攻撃受ける危険も

 沖縄本島には、嘉手納基地や普天間基地など広大な米軍・自衛隊基地があり、「太平洋の要石(かなめいし)」「不沈空母」などのありがたくない呼び方もある。屋久島から沖縄本島までは、船でたどると島影を失うことはない。
 しかし、沖縄本島と宮古島の間約300㌔には島がない。その間を中国の軍艦や潜水艦が通って太平洋へ出る。それは、国際法上許されている。日本は沖縄本島と宮古島のミサイルで挟み撃ちにしようというわけだ。
 現在、宮古島にはレーダー基地があり、南西諸島地域を広くカバーしている。それに加えて新たに自衛隊を駐屯させ、ミサイルを配備したら、仮想敵にされている中国にとっては脅威が増すことになる。
 今でさえ尖閣の問題で厳しい状況にあるのに、これではますます軍事的緊張が高まることになる。抑止力どころか、攻撃の対象とされる危険が大きい。
 沖縄は先の大戦で本土防衛の捨石にされ、戦後も本土から切り離されて米軍の軍事占領下に置かれて核基地にされた。今もその負の遺産に苦悩している。




憲法の精神擁護こそ

 島には、沖縄戦の経験に加え、もっとひどく扱われた歴史がある。琉球王国が明治政府の武断的な「処分」によって日本に併合される(1879年)前年から80年にかけて、日本は清国内での通商権(最恵国待遇)確保と引き換えに、宮古・八重山を切り離して清国領にする案を議定した。
 林世功(りんせいこう)(名城里之子親雲上)(なしろさとぬしぺーちん)の抗議の自殺など激しい抵抗があり、調印されなかったが、日本の国家エゴイズムの醜い姿があらわになった。
 尻尾には、胴体の進む方向を決める役割がある。逆にトカゲの尻尾切りのように、胴体の安全のために捨てられることもある。何があろうと屈せず、日本の針路を正し、憲法の精神を実現し、人間の尊厳を回復するために、誇りをもって尻尾の役割を果たしたい。

(沖縄県支部支部長)






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