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HOME > 日中友好新聞 > 2014年10月25日号

日中友好新聞

「慰安婦」問題朝日バッシング≠フ背景に迫る
  今こそ伝えよう侵略戦争の真実

 

在りし日の被害女性たち(左から李秀梅さん、周喜香さん、郭喜翠さん、陳林桃さん、劉面換さん)2001年8月撮影
「中国人『慰安婦』裁判を支援する会」提供

 

 

8月5・6日の朝日新聞は過去に報道した「慰安婦を強制連行した」とする吉田清治氏(山口県労務報告会下関支部動員部長)の証言を「虚偽」と断定し、記事を取り消し謝罪しました。
  これを機に「靖国派」に属する議員や右翼的ジャーナリズムなど過去の侵略戦争を肯定美化する勢力による異常な「朝日」バッシングが広がっています。その背景に迫るとともに、「いま私たちが何をすべきか」を考えてみました。

 


朝日報道で「河野談話」の核心は崩れない

 

 

軍直属の第六慰安所「桜楼」に貼り出された「登楼者心得」(村瀬守保氏撮影)


 慰安婦問題の論議で大きく注目されているのが「河野談話」(2面に全文掲載)です。バッシング勢力は「吉田証言が偽証とされたことで、慰安婦問題の論拠はなくなった」と盛んに攻撃しています。
  しかし、当時「河野談話」作成に直接関わった石原信雄官房長官は「(吉田証言)は眉唾もんだというふうな議論はしていました」と正面から否定しています。
  慰安婦問題に詳しい吉川春子さん(元参議院議員)は「強制連行否定論者は軍・政府が設置管理した慰安所で女性を性奴隷として扱った事実には目を塞ぎ、連行の形態のみを問題にしている」(日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会機関紙「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ」より引用)と指摘しています。
  政府も「吉田証言は『河野談話』に反映されなかった」(菅官房長官=10月3日・衆議院予算委員会)と答弁しています。

 

 


「慰安婦問題」否定は侵略戦争の肯定

 


2005年3月18日の高裁判決でコメントする郭喜翠さん(「中国人『慰安婦』裁判を支援する会」提供)

 

 

 バッシング勢力の狙いは何でしょうか。ジャーナリストの桜井よしこ氏は「朝日」報道批判のなかで「…歴史問題で、日本を加害者と位置づけ、中韓両国に謝り続ける地平に日本を置き続けたいという凝り固まった歴史観にとらわれすぎているからだろう…」(『文芸春秋』14年10月号)と述べています。また自民党国際情報検討委員会は政府が公式見解を出した後も、「慰安婦問題は、誤った国際認識として正さなければならない」と決議しています。
  河野談話=慰安婦問題攻撃の底流には、日本の過去の侵略戦争を肯定・美化する安倍首相の立場と共通する歴史認識が根強く存在しているのです。

 

 

 

 

「中国人慰安婦」の切実な証言

 


  「慰安婦」の大多数は朝鮮・韓国の人たちですが、被害女性の国籍は10カ国以上にのぼり、中国人女性も大勢いました。
  中国では康健弁護士を中心とした中華全国律師(弁護士)協会による中国「慰安婦」被害事実調査委員会の3次(07〜09年)にわたる調査結果が公表されました。それによると、山西省・雲南省・海南省・遼寧省・吉林省などで1738人の被害者が明らかにされています。
  被害者の劉面換さん(調査当時80歳=12年4月に死去)は「全世界で『慰安婦』問題の関心が高まっているのに謝罪も賠償もしない日本政府の態度は信頼を失います。最高裁の判決にも怒りを感じます。私は最後まで闘います」と厳しく糾弾していました。
  また、07年8月に「中国人『慰安婦』裁判を支援する会」(西野瑠美子代表)の安達洋子さん、日中友好協会の徳永淳子さんらが山西省盂県の被害女性を訪ねました。(本紙07年9月15日号1面で既報)
  現在、中国山西省や海南島の中国人被害者による4つの裁判(原告24人のうち、被害者23人、遺族1人)は最高裁で敗訴が確定していますが、旧日本軍の直接・間接関与、拉致・連行、心的外傷後ストレス障害(PTSD)による後遺症、個々の被害事実が認められました。
  日本軍「慰安婦」制度については、研究者・市民の手によって膨大な数にのぼる公文書や証拠となる資料が発掘されてきました。とくに、被害者の高齢化が進むなか、聞き取り調査によって収集された「証言」は、事実を否定する言動への最も説得力のある反証です。
  生存者の証言・証言集・DVDなど、あらゆる方法で積極的に「真実を知らせる」ことが重要になるなか、戦時性暴力「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館「アクティブ・ミュージアム『女たちの戦争と平和資料館』(wam)」(別掲)があらためて注目されています。

 

 

 

 

「人権尊重」の世論広げ問題解決に努力を


 「中国人『慰安婦』訴訟」に長く関わってきた大森典子弁護士(同訴訟弁護団長)は「最高裁判所は被害者の請求を却下しましたが、被害の事実を全面的に認めたうえで、立法的・行政的解決を促す異例の判決をしています」と述べ、さらに「『河野談話』への攻撃は司法の事実認定をも覆し、侵略戦争の真実と『解釈改憲』による戦争する国づくりへの暴走につながるもので断じて許すことはできません」と指摘しています。(宣)

 

 

 

 

アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)

●11月30日(日)まで「中学生のための『慰安婦』展+(プラス)」を開催中。
●開館時間=水〜日、午後1時から6時まで。
●休館日=月・火・祝日
●入場料=500円(18歳以上)、300円(18歳未満)、小学生以下は無料
●住所=東京都新宿区西早稲田2―3―18AVACOビル2階(地下鉄東西線早稲田駅から5分)
●TEL03(3202)4633、FAX03(3202)4634
●E−mail: wam@wam−peace.org
http://wam−peace.org/

 

 

 


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