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日中友好新聞

2012年3月15日号1面
被爆体験集「長崎が消えた」中国語版を刊行
中国全土の50国立大学や図書館などに贈呈

 2004年11月「長崎の証言の会」が、1969年以来の長期間にわたる被爆証言の収集と出版の功績を買われて「西日本文化賞」を受賞しました。
 2006年11月、同会がそれまでに集めた1017篇のなかから37篇の記録を選び、「証言 長崎が消えた」を刊行。このほど、中国で日本語教師体験をもつ廣瀬方人さん(「長崎証言の会」代表委員・元高校教師)の尽力で「中国語版」が刊行されることになりました。

 

教え子が仲間に呼びかけ実現へ

 

写真1 日中友好協会

「証言 長崎が消えた」
英語版表紙
(中国語版は3月末に完成予定)

 刊行の動機は、廣瀬さんが1994年から4年間日本語教師として働いたハルビン理工大学の卒業生の結婚式の席上で、教え子の卒業生の1人に「近く長崎の被爆体験の英訳本を出す予定だ」と、話したことから。
 その教え子は「体験記の中国語版ができればとても意義があることです。私たちがお手伝いします」と、積極的に提案してきました。同じ教え子で、現在上海海洋大学の日本語科準教授をしている彼の奥さんも賛同し、たちまち中国各地の教え子に伝わり、元同僚と合わせ15人が翻訳作業に参加してくれました。
 2010年1月、編集責任者になってくれた元同僚の田忠魁氏(元黒龍江大学日本語科教授)が来日し廣瀬さんを訪問、編集会議を開き本決まりとなりました。田氏の話では、中国語に翻訳された被爆記録の本はないとのこと。

 

 

3月末、1000冊完成へ

 

写真2 林重男氏撮影
浦上天主堂の南側の壁と聖像(壁は爆風で土台からずれている)林重男氏撮影

 「中国語版・長崎が消えた」は、序文を除いてすべて「純粋な記録集」で約200ページのもの。表紙や編集内容は英訳版と同じにし、グラビア写真は中国向けに、新しく10枚を挿入、印刷は中国現地で行い、印刷費は日本で募金を集めることが決まりました。
 すでに黒龍江省出版局の検閲も通過し、現在印刷製本中で3月末完成の予定です。
 印刷は1000冊。中国全土の国立大学約50校の図書館にそれぞれ10冊、公立図書館に贈呈の予定、また、留学生にも献本が計画されています。

 

「侵略戦争の被害者」の連帯広がりを

 

写真3

田忠魁先生(右)と廣瀬さん
黒竜江省ハルビンにて
1998年8月日本に帰国する直前

 日中友好協会長崎県連は、直ちに理事会で討議し「全面的に協力する」ことを決め、多額の募金に応じています。
 大田宣也本部副理事長(原水爆禁止世界大会国際委員)は、期待を込めて次のように話しています。
 「被爆体験集・中国語版の刊行と大量の寄贈は画期的なことです。『中国では原爆が投下されたから、終戦になってよかった』などという誤った理解をしている人も少なくないと聞いています。日本の侵略戦争で膨大な犠牲者を出した中国の国民が、同じように多数の被害者を出した原爆の悲惨さを知り、核兵器廃絶・平和のために協力するうえで大きな意義があります。中国からの観光客も増えている今日、この本を読んだり、話を聞いた人が、広島・長崎に足を運んで欲しいですね」(萩谷瑞夫)

 

 問い合わせ先=日中友好協会長崎県連・市支部(萩谷) TEL:095(827)5882(取次) FAX:095(826)2976(取次) E-mail:h-hirose@cap.bbiq.jp(@は半角)
  または、日本中国友好協会本部へ

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