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日中友好新聞

2011年10月25日号1面
北京で京都の伝統文化展
感動呼んだ「市民手づくり」の友好交流
吉村澄代

 「京都:観光と伝統文化・伝統工芸産業展」が8月24、25の両日、北京の日本国際交流基金北京日本文化センターで開催されました。
 日中友好協会京都府連合会を中心に京都の伝統文化や伝統工芸の関係者が結成した「京都文化観光北京使節団」が主催し、京都市および国際交流基金北京日本文化センターが後援したもので、京都の伝統文化が参観した北京市民を魅了、大きな反響を呼びました。

 京都文化観光北京使節団とは、昨年9月に日中友好協会京都府連が開催した「京都に中国人観光客を迎えるシンポジウム」に結集した力を生かし、京都への観光誘致と伝統文化・工芸を広めに北京へ行くことを目的として結成された民間使節団です。
 今年2月から観光業界、伝統工芸界に参加を呼びかけ、展示参加に11企業、協賛委託企業・団体として9企業6団体、資料提供団体・企業として京都府、京都市など5団体4企業が結集しました。
 使節団員として参加したのは23人で、大学生から中高年までの幅広い年齢構成。現地北京でも、通訳、モデルなど30人以上がスタッフとして加わってくれました。

 

箸の絵付け、きものショー

 

写真1 日本中国友好協会

染織展示コーナーでは、
臨時の三味線教室も開かれて・・・

 2日間のイベント会場には、予想を大きく超える300人以上の来場者があり、初日の開幕セレモニーでは、来賓として日本国際交流基金北京事務所の杉田松太郎所長、日本政府観光局(JNTO)北京事務所の飯嶋康弘首席代表所長、中日友好協会友好交流部の程海波部長、東方尊貴商務服務公司の和田正信総経理があいさつしました。
 内容としては、京都の伝統産業である友禅染、清水焼、西陣織をはじめ、京蒔絵、ローケツ染めなどの伝統工芸・染織品の展示、若狭塗箸の制作、3分間で着るきもの体験、茶道のお点前など。
 お箸の制作は、折れたバットの木材を利用して作られたお箸に絵付けをするもので、用意された200人分がまたたく間になくなりました。3分間きものの試着では、80人以上の人びとが和服を楽しみました。茶道裏千家淡交会北京同好会によるお茶のお点前では、京和菓子とお抹茶を味わってもらいました。
 夕方からは、三味線の生演奏、日本舞踊とともに伝統的なきものの着付けと3分間で着る着付けのショーが行われ、観客を魅了しました。
 会場には、東日本大震災の様子を伝えるコーナーも設けられ、多くの来場者が寄せ書きの布に日本語で応援メッセージを書いてくれました。
 これらのイベントの様子は、人民網日本語版、中国国際放送局等でも大きく報道されました。また、きものショーは、8月27日に北京の日本大使館主催の「西城区日本文化祭」にも出演依頼を受け、京都のきもの文化をより多くの北京市民に紹介しました。

 

旅行社に京都の魅力をアピール

 

写真2 日本中国友好協会

3分間着付けのきものを体験する中国の女性

 使節団は、京都の伝統文化や伝統工芸・産業の紹介だけでなく、京都への観光誘致という目的をもっていましたので、イベントの翌26日には、北京の大手旅行社4社(中国国際旅行社、中国青年旅行社、中国旅行社総社、中国康輝旅行社集団)を訪問。ありきたりの観光ではない、奥深い京都、新しい京都の姿を知ってほしいと訴えました。
 旅行社側からは、これからの個人旅行ブームに応える新しい観光スポットの紹介や京都からの中国向け発信がほしいなどの要望が出されました。

 

「体験型イベント」に人気

 

写真3 日本中国友好協会

参加者・スタッフ全員集合

 今回のイベントは、なにより参加者全員の自主的な意欲があったことと、各展示スペースに通訳を配置し、展示主と参観者とのコミュニケーションを大事にしたことが大きな成功につながりました。この通訳陣には、日中友好協会京都府連の中国語講座の講座生たちが活躍しました。
 身近で楽しめる伝統工芸品の展示やお箸の制作、きものの着付けなど「体験型イベント」も北京の人びとには新鮮に映ったようです。
 北京で日本の一般市民が手作りでイベントを行なったのは初めてかもしれません。無謀な試みでもありましたが、日中友好協会の活動にこういう側面も取り入れることも可能であることを示したと思います。
 しかし一方で、今後これをどのように観光誘致につなげてゆくかの課題があります。このイベントの真価が問われるのはこれからです。

 会場では105人(女性75人、男性30人)からアンケートが寄せられました。その一部を紹介します。
 「和服が着れて、とても楽しかった。きものを着せてくださった先生はすごく優しい。また、お箸も作ったので、出来上がるのがすごく楽しみ。会場の飾りつけもすごくよかった。日本に行く機会があったら、絶対京都へ行きたい」
 「京都の伝統文化と伝統工芸を見て、伝統が長く息づいていること、受け継がれていること、そしてさらに発展していることに非常に感動し、敬服した」
 「今後もこのようなイベントを中国のもっと多くの都市でもやってほしい」

        (「京都文化観光北京使節団」事務局長・日中友好協会京都府連常任理事)

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