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日中友好新聞

2011年7月15日号1面
歴史の後戻りを許すな!
「日の丸・君が代」の押しつけ

 

「君が代」斉唱規律条例を強行可決 大阪府議会
小牧 薫 (大阪歴史教育者協議会委員長)

 

写真1 日中友好協会
条例制定反対を呼びかける該当宣伝
(大教組提供)

 橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」府議団は、6月3日の大阪府議会本会議で「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」を強行可決しました。府議会文教常任委員会は2時間半、府議会本会議は20分の審議で強行しました。
 橋下知事は、「公務員はルールを守るのが当然」と言い、「思想・信条の自由とか言っている場合じゃない」と暴言を吐き、9月には、「処分条例案」を成立させるとまで言っています。

 

内心の自由侵す

 

 条例は「府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」ことを目的に、「府立学校及び府内の市町村立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教員は起立により斉唱を行うものとする」と、起立・斉唱を義務づけています。
 これは、人間の尊厳の根幹である内心の自由を侵すだけでなく、教育に対する「不当な支配」にほかなりません。それだけでなく、権限の及ばない政令都市立の学校や教職員にまで権限を及ぼそうというのです。
 「日の丸・君が代」の法制化には国民の過半数が反対しました。「国旗・国歌法」制定時には、小渕首相はじめ各大臣は「義務づけを行うものではありません」と繰り返し答弁しました。

 

数の力で強権政治

 

 大阪の学校の多くでは、89年指導要領改定や99年の「国旗・国歌法」制定後も、子どもと父母・教職員の合意で「ハタ・ウタ」なしの式が行われてきました。その後、締め付けが強化されても職務命令はほとんど出されず、卒業式や入学式で混乱が起こることはありませんでした。
 最近になって一部で職務命令が出され、「処分」もされるようにはなりましたが、府の教育長も「混乱は起こっていない。条例化の必要はない」と答弁しているのです。
 橋下知事のやり方は、選挙の時の公約を投げ捨て、自らの意見に従わないものを切り捨て、「大阪都」構想実現のために地方政党を立ち上げ、財界奉仕の政策をオブラートに包み、連日マスコミに登場することで人気取りに徹し、反対意見を封じ込めるものです。
 府議会の過半数を維新の会が占めることによって、他党議員の声を聞かず、数の力で強権政治を行おうとしています。保守反動政治の行き詰まりを前にした悪あがきそのものです。
 大阪府民は、遠からずこの民主主義破壊の動きを止めるために力を結集すると信じます。

 

 

侵略戦争美化の道−私の体験から
山下 正男 (協会熱海支部長)

 

写真2 日中友好協会
「日の丸」を手にした山下さん

 私は、青年時代に二つの戦争の手先になり、償い難い罪悪を犯しました。
 一つは中国に対する侵略戦争。もう一つは戦後、軍命で中国山西省に残り、軍閥・閻錫山に加担して中国人民解放事業を妨害した反革命戦争です。
 私たちの世代は、小学生の頃から、「君が代」斉唱と「教育勅語」奉読によって、天皇のために命を捧げる「忠良な臣民」になることをたたき込まれ、「日の丸」の旗を背に悲壮な覚悟で陸海軍に入隊。
 軍隊では、「軍人に賜りたる勅諭」を日夜奉唱。「勅諭」には、「朕(ちん)は汝等(なんじら)軍人の大元帥なるぞ・・・下級のものは上官の命令は朕が命令と心得よ」とあるので、どんな理不尽なことでも、上級の命令には従わざるをえません。
 「戦陣訓」では「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」。捕虜になるくらいなら死ねということです。
 日本軍「山西残留」の首謀者たちは「祖国復興とは再武装することだ。中国で防共の第一線に立つことは『国体護持』、天皇への忠誠」であると残留を命じました。
 橋下知事率いる「大阪維新の会」は「君が代」起立強制条例を成立させ、さらに、不起立を繰り返す教職員への罰則規定を含む条例案を9月府議会に提出しようとしています。
 また、各教育委員会の中学校教科書採択に向け、「靖国派」の「新しい教科書をつくる会」と「日本教育再生機構」の育鵬社版など、日本の侵略戦争を美化・正当化し、軍事力による紛争の解決を主張する危険な教科書が採択の対象になっています。
 こんな教科書で再び「愛国」少年少女が育てられたら、その前途は破滅です。
 生き証人である私たちの出番はまさに正念場です。

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