日中友好協会(日本中国友好協会)

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日中友好新聞

2011年3月15日号1面
在日中国人の役割を考える
中日ボランティア協会5周年シンポ

 今年5周年を迎えた中日ボランティア協会は2月19日、都内の早稲田大学で5周年記念シンポジウムを行ないました。約30人が参加、基調演説、援助活動のケース紹介、討論会と、約4時間のプログラムでした。
 基調演説は天児慧・早稲田大学教授と朱建栄・東洋学園大学教授。討論会では、パネリストに莫邦富さん(ジャーナリスト)はじめ日本で活躍する中国人が意見を出し合いました。

 

写真1 日中友好協会

中日ボランティア協会5周年を記念して

 

 中日ボランティア協会は2006年、滋賀県の中国人女性が園児2人を殺害した事件報道がきっかけで結成されました。
 以来、ホットライン「救命電話」やメーリングリストを中心に、日本社会で困っている中国人を助ける活動をしています。5年間の相談件数は延べ約3000件。協会の会員は、在日中国人を中心に218人。

 

朱建栄さんらが基調演説

 

写真2 日中友好協会
討論会の様子(左から、段躍中さん・川上詩郎弁護士・劉双准教授・莫邦富さん・張宏波准教授

 天児慧さんは「英雄並び立つ」と、日本と中国の共存共栄のシナリオについて語りました。天児さんの経験として、1975年からはじまった新中国からの留学生の世話役をした実績、そして90年から現在も続いている日中学生会議について紹介しました。
 朱建栄さんは、GDPで日中が並んだ意義について、「東アジア全体が世界の中心になった。日本と中国が世界を握っている」と話しました。また、日中関係について、エリートではなく民間人が日中関係を決めてゆく新しい時代に入ったが、現在は対話に正面からぶつかり合い、とまどっていると語りました。
 ボランティア協会に対し、NPO法人化はじめ、日本社会に認められる団体になることへの期待を述べました。

 

日中友好協会も協力

 

写真3 日中友好協会

張代表が閉会あいさつ

 基調演説後のゲストスピーチで、日中友好協会東京都連合会の北中一永副理事長は、中日ボランティア協会との関わりを語り、在日中国人社会が抱えている問題の事例を挙げました。解決すべき問題は多方面に及んでいます。「日中友好協会としても協力していきたい。ぜひ、一緒にやっていきましょう」と呼びかけました。
 援助活動のケース紹介では、「一比零大(1は0より大きい)」の精神で活動していると、中日ボランティア協会の張剣波代表は強調。これまでの活動と、同協会のメンバーを紹介。
 各メンバーの援助活動報告では、研修生を保護した陳丹舟さん、誤認逮捕の事件を解決した王穎琳さんらがその成果を語りました。
 また、言葉や資金だけでなく法の知識が必要とされていることが報告され、この点については、川上詩郎弁護士が外国人としての必要な法的対策をアドバイスしました。

 

日中が互いに隣人として

 

 つづいて、討論会では「在日中国人と日本人社会/中日ボランティア協会のこれから」をテーマに、僑報社社長の段躍中さんを司会に、パネリストは川上詩郎弁護士、劉双早稲田大学准教授、ジャーナリストの莫邦富さん、張宏波明治学院大学准教授が務めました。
 パネリストからは、「日本人社会は変化し続けているが、中国人はその変化にどのような関わりをもつのか知りたい」、「日本の中で中国人が中国人を助けやすい社会に、日本の社会はなってほしい」、「2国間が悪くなるたびに、在日中国人の評価が悪くなったり、良くなったりしている」など、さまざまな意見が出されました。
 結論では、日本に求めるものは協会の活動が行ないやすい法整備や社会づくり、そして中国人自身の意識改革。日本人と中国人が連携して問題を解決していきたい、としました。
 最後の閉会のあいさつで、張代表は会場を見回し「徳不孤、必有隣(徳は孤立しない、必ず隣人がいる)」、これからも日本人社会の一員として頑張っていきたい、と抱負を語りました。(東野) 

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