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日中友好新聞

2010年10月15日号1面
青年の心に根づく熱い友情
日青協が内モンゴルで植林活動

 日本青年団協議会(日青協)は、9月16日から21日まで第19次植林訪中団を内モンゴル自治区に派遣。全国各地から10人が参加しました。この訪中団には日本中国友好協会から平澤ちぐさ本部事務員が参加、メンバーと行動を共にしました。

 

2日間で800本を植樹

 

写真1
ポプラの木を1本1本丁寧に植樹

 日青協は1992年いらい中華全国青年連合会(全青連)とともに中国の砂漠地帯で植林活動を展開。今年は19回目に当たります。今回の植林場所は同自治区達拉特旗(ダラトキ)。オルドス高原北部、黄河南岸に位置しています。見わたす限り壮大な平原が広がります。
 現地到着の夜、ダラトキ青年連合会はじめ、ボランティアの人びと約30人からの盛大な歓迎を受けました。最初は、緊張気味だった両国青年は、交流会では日本語、中国語、英語で会話。お互い積極的に質問し、初対面とは思えないほどすぐに打ち解けました。
 ダラトキ2日目、宿舎からバスで40分、砂漠地帯に到着。植林活動開始式、記念碑除幕式の後、約40人がいよいよ植林活動スタート。
 作業はスコップで2メートルおきに40センチ以上の穴を掘り、現地で育てた1メートルくらいの苗木(ポプラ)を植え、足でしっかり土を踏みしめ、水をかけます。日中双方の青年は植え方を教え合ったり、バケツで水を一緒に運んだり、スコップを交換しながら、1本1本丁寧に植えていきました。
 早朝まで降っていた雨もやみ、日中の気温は15度程度。作業を始めるとすぐに汗が出はじめ、午前11時から午後4時まで続けられました。
 2日間で砂漠地帯2ヘクタールに800本余りを植樹。最終日には手にマメができた青年もいました。

 

「親切で心あたたかい日本人」

 

写真2
9月18日、日中双方のメンバーが
集まった植林活動式

 初参加の日本側団員に参加の動機を聞くと「環境問題に興味があり、砂漠化で生活が脅かされている人たちの実際の様子がみたかった」。
 中国のイメージは「本のなかでは中国人は『無表情・お金第一』と書かれていたが、全く違った。言葉は通じないが、伝えようとする気持ち、交流が大事だと思う」。
 別の団員は「中国人は感情表現が豊か。テレビの情報だけではお互いに理解ができないと思う。実際に現地の人と接しないと分からないと思った。多くの人に植林活動をすすめたい」と述べていました。
 小学校教師の中国の青年は「黄砂をくいとめるという同じ目的で日本人と一緒に植林をできたことは本当にうれしい」。「日本人と初めて直接話をした。非常に親切で心が温かい方たちです」と笑顔で話します。
 ボランティアの1人は「私の祖母の肩には、日本兵に刺された傷がある。痛そうにしている。歴史問題について、日本の態度は納得できないが、日中の青年が一人一人話し合うことは大事だと思う」と、真剣な表情で語りました。

 

黄砂ストップで成果

 

写真3

植樹前は砂漠だった場所も
今では林(左・洪桂梅さん 右・立道斉さん)

 植林活動の目的について洪桂梅さん(全青連国際交流センター主任助理・女性)は「砂漠化による黄砂被害が年々悪化しています。植林は砂漠の流動化を防ぐことができます」。また、「植林した場所が森に変わり、土地を離れた住民たちも再び戻って生活を始めている。活動を継続してきた大きな成果があります」と話します。
 日中青年の交流について「交流は青年の環境問題の意識を高めました。一緒に汗を流し、力を合わせ、植林活動をする。これは民間レベルだからできたことです」と力を込め、「これからは植林活動の経験を次の世代につなげ幅広い交流をしていきたい」と抱負を語りました。
 「植林活動は日中青年交流のさきがけになってきました」と語った日本側団長の立道斉さん(日青協常任理事)は、「交流を通して青年が自分の枠を脱して一歩踏み出し、自分の可能性を広げてほしい。自分たちが日本で何ができるのかを考えるきっかけになってほしい」と述べました。

 

尖閣問題のなかで

写真4
休憩中、力相撲する日中の参加者

 

 植林活動を開始した9月18日は「柳条湖事件記念日」。尖閣諸島問題で日中両国の対立が報道されていました。その中で「銃ではなくスコップで友好を」という思いで、日中の青年たちはお互いの言葉、気持ちを理解しようと一生懸命。一緒に植林し、歌い、踊る、そこには国境を越えた真の友情の姿がありました。(平澤ちぐさ)

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