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日中友好新聞

2009年4月5日号1面
今世紀で最も重要な二国間関係
対中対話重視するオバマ政権
伊藤力司

 今年は米中国交樹立30周年に当たります。世界経済で大きな影響力をもつようになった中国をアメリカはどのようにとらえているのでしょうか。ジャーナリストの伊藤力司さんにオバマ新政権の中国政策について執筆してもらいました。(編集部)

 

 クリントン米国務長官は「米国にとって中国は今世紀の世界で最も重要な二国間関係」と定義したが、米中国交樹立から満30年の今年スタートした米オバマ政権は、前ブッシュ政権以上に中国重視の外交を進めるだろう。
 それは中国の存在感が相対的に大きくなったことを反映しているが、とりわけオバマ時代のアメリカが膨大な財政赤字を埋めるために発行する国債を、中国が大量に買ってくれているという関係にあるからだ。

 

中国は世界一の米国債保有国

 

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クリントン米国務長官と会談する胡錦濤国家主席 人民日報(2月22日付)

 オバマ政権は、イラク、アフガン戦争の膨大な戦費や富裕層向け減税など、ブッシュ政権の財政赤字のつけを引き継いだ上に、大恐慌以来の金融・経済危機に対処する超大型景気刺激策を賄うために、巨額の国債を新たに発行しなければならない。
 約2兆ドルと世界一の外貨準備高を持つ中国は、昨年末現在で6962億ドルの米財務省証券(国債)を購入している。世界トップの保有高で、2位の日本5783億ドルを引き離している。
 もし中国が米国債を売りに出るとすれば、ドルの価値は暴落し、世界経済は今以上の大混乱に陥ることは必至だ。前世紀末から今世紀初頭にかけて米国などからの投資が中国に流れ込み、二けた成長を続けた中国が「世界の工場」となり、安い中国製品を米国などへ「大量輸出した10年」が生み出した結果である。

 

つきまとう米中軍事緊張

 

 しかし、世界同時不況の引き金を引き凋落(ちょうらく)し始めたと言われる米国ではあるが、依然として世界で唯一の超大国であることに変わりはない。
 あと15年もすれば中国の国内総生産(GDP)は米国に追い付くだろうと予測されているし、中国は過去20年間国防費を二けた増額して軍事大国化しつつあるが、オバマ政権も、好むと好まざるとにかかわりなくそのことを意識せざるを得ない。
 さる3月8日、海南島沖で米海軍の調査船を中国の艦船5隻が取り囲んで航行を妨害するというトラブルが起きたが、米中関係には軍事的な緊張がつきまとうのは必然である。

 

注目される4月の胡・オバマ会談

 

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クリントン米国務長官のアジア訪問
を伝える『瞭望』誌 (09年第7号2月16日付)

 クリントン国務長官はさる2月20日から訪中、楊潔篪外相、胡錦濤国家主席らと会談、また楊外相は3月10日から訪米してクリントン国務、ガイトナー財務両長官、オバマ大統領と会談した。
 これらの会談を通じて両国は今後、閣僚級の対話枠組みとしてこれまで実施してきた経済分野に加え、政治・安全保障問題を扱う戦略対話も開催していくことで合意した。
 4月2日ロンドンで世界経済危機打開を目指し、中国など新興国も加えたG20サミットが開かれるが、この機会に胡主席・オバマ大統領の初首脳会談が開かれる。
 両首脳は2回の外相会談で準備された戦略的対話に臨み、世界不況打開策、東アジアの安全保障などで意見を交換する。
 人権尊重に立つオバマ大統領がチベット問題、信教、言論表現の自由など、中国の人権問題についてどう言及するか。胡主席は内政不干渉を主張して論議を封じる構えだが、その対応が中国の開放度を占う材料になるだろう。(ジャーナリスト)

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