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日中友好新聞

2008年4月5日号1面
国民の声重視、多くの課題に直面
中国全人代(11期全人代第1回会議)
菊池 敏也

 

写真
食品価格が上昇し庶民の財布を直撃(北京市内の果物屋)

 北京の春は、「両会(リャンフイ)」の季節です。中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)と、統一戦線組織である全国政治協商会議(政協)の二つの会議が、ほぼ同時期に開かれます。

 

 3月5日から18日まで開かれた全人代(11期全人代第1回会議)は、昨年秋の中国共産党第17回大会を受けて、今年の政府の方針を決めるとともに、今後5年間、中国で政治を担う国家指導者を選出しました。

物価・インフレ対策が急務

 今年は、北京オリンピック(8月)が開かれる年です。また、中国の「改革・開放」の30周年に当たります。昨年、中国の国内総生産(GDP)は24兆6600億元(約360兆円)で世界第4位の経済体となり、貿易額は2兆1700億ドル(約225兆円)で同第3位になりました。
 中国はすでに世界の経済成長を支える役割を担っていますが、他方でそれは中国の環境に大きな負荷を与えるようになっています。このほか、地域格差の縮小、農民の収入増、社会保障の拡充、汚職・腐敗の防止などの課題の解決が迫られています。
 とくに昨年は消費者物価が大きく上昇し、庶民の財布を直撃しています。今年も2月の時点では、食品価格は昨年同月比で23・3%上昇し、なかでもブタ肉は同63・4%のアップでした。これらの問題の解決を求める国民の声が高まっています。
 全人代の初日、温家宝首相の政府活動報告には、こうした国民の声も反映して、民生問題を重視し、国民向けの施策に手厚い財政措置をとる方針が示されました。また、経済成長の目標を8%に設定し、物価上昇率も昨年実績並みの4・8%以内に抑える方針が打ち出されました。

環境保護総局を省に格上げ

 今回の全人代では、政府機構の改革案も採択され、国民への「服務型政府」づくりが強調されました。
 とくに環境保護の分野では、従来の環境保護総局が「環境保護省」に格上げされました。食の安全やエネルギー問題に効果的に対応できる機構再編も進みました。
 国家主席には胡錦濤氏(党総書記)が再選され、副主席には新たに習近平氏(党政治局常務委員)が選ばれました。全人代委員長、首相、政協主席には呉邦国、温家宝、賈慶林の各氏(ともに党政治局常務委員)が再選されました。(中国研究者)

農業、教育など予算を大幅増

 今回の全人代では、昨年に続き「三農(農業、農村、農民)」支援、教育、民生など、国民生活改善対策を重点課題に掲げました。
 農業では、(1)食糧増産(2)農業のインフラ整備(3)農民の収入増ルートの拡大―を中心にすえ、予算面でも中央政府の「三農」対策費を昨年に比べ30・3%と大幅に増やし、5625億元計上しました。
 教育面でも、全国の都市農村での無料の義務教育の全面実施を目標に、教師の給与改善などを含め、中央政府の教育事業予算は、昨年比45・1%増の1561億7600万元と、大きな伸びです。
 医療・衛生面では、今年は農村の協同医療保険制度の全国実施をはかり、さらに都市・農村をカバーする制度への前進をめざします。

 

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