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日中友好新聞

2007年9月5日号1面

どう見る、中国の「食の安全」

写真

北京・街の八百屋さん 撮影:根本トモオ氏

 中国の食品の安全性を危惧する声が全国で広がるなか、日本国内や中国ではどのような対策が講じられているのでしょうか?
 現段階の日本の状況、管理体制、中国の現地の実態、中国側の対策などについて考えます。


「中国産」への不安

 厚生労働省のまとめによると、06年度に輸入届け出のあった185万件中1580件に残留農薬や有害物質が検出され、その約3分の1が中国産でした。
 今年に入ってからも、中国産ウナギから発ガン性のある抗菌剤が検出されるなどの報道が相次ぎ、中国の「食の安全」への心配が広がっています。
 同省では、輸入後の抜き打ち調査に加え、特に中国産で違反性の高い57品目について検査命令の対象とし、水際の監視、国内の流通状況の調査を強めて「食品の安全性を高めている」としています。
 5月21日から7月6日にかけて生活協同組合連合会ユーコープ事業連合会に消費者から寄せられた147件の問い合わせのうち、半数以上が中国産食品の安全に対する疑問視、または取り扱い中止を求める声でした。
 同会ユーコープ事業連合は、消費者の立場で、より安全で信頼できる商品の提供のためにも、中国産キクラゲや魚介類などについて独自に検査。結果を公表し、消費者への正確な情報提供に取り組んでいます。
 広報課の河智敦子さんは、「日本は輸入依存の環境にあり、中国からの輸入は当然多くなります。しかし、私たちは国の基準よりも厳しい検査基準を定め、商品の安全・安心に努めています」と話します。


中国国内でも不信感が


 北京在住の根本トモオさん(日本中国考古学会会員)は中国国内の状況について次のようなレポートを寄せました。
 20年前まで、中国の農産物生産の主流は自然栽培・有機栽培で、農民が高価で高濃度の農薬を使用することはなかった。
 ところが、今年8月に北京近郊(順義区)の農家を訪問した際、トマトの赤味、キュウリの青味とつやを引き出す「農薬」を見せられ驚く。農薬を散布するようになったのは7年前(00年)からだ。
合言葉

(動物を食べる際、成長ホルモンが使用されていないか、野菜は農薬がついていないか、飲料に着色料はないか。気になって何を食べてよいかわからない)――これは現在、中国国内で流行中の合言葉だ。中国国内でも中国食品に対する不信感が募っている。


中国当局、取り締まり強化へ

 中国当局は、日本の厚生労働省が7月23日に発表した「中国からの06年度輸入食品合格率99・42%」を根拠に、全体として安全水準は高かったとしながらも、不合格とされた食品の実数が530点にのぼったことを重く受け止め、改善に努めています。
 新華社電によると、国家品質監督検査検疫総局の李長江局長は7月18日、中国輸出品の品質問題は「小企業に集中し、数が多く、範囲が広い」と述べ、一部に基準はずれの生産原料や食品添加物の使用があることを認めました。
 同局はすでに、「生産から輸出まで全過程の管理システム」を設け、必要に応じて「輸出品に中国政府の証明書を発行」し、違法食品企業の「ブラックリスト」作成と輸出禁止措置を実施。
 7月9日には14社をその対象とし、アメリカで問題となった中国製練り歯磨きについては、7月11日、原料にジエチレングリコールの使用を禁止しました。


日中間の協力が不可欠に

 日本の厚生労働省食品安全部は8月6日、北京で中国の国家品質監督検査検疫総局の輸出入食品安全局と輸入食品の安全性確保について「意見交換会」を開きました。
 日本側の発表では、中国側が検査体制や輸出食品の安全確保措置などを説明。「緊密な意見交換」が行なわれました。
 「食の安全」に関する日中間の協力の強化が問題打開に向けての不可欠の課題になっています。


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