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日中友好新聞

2007年2月15日号1面
(中国「残留孤児」東京訴訟)

国民の期待に背く判決
〜「新支援策」確立へ動き強まる〜

 

写真
亡くなった仲間の遺影を抱え、呆然とする原告たち
(1月30日、東京地裁)

 東京地方裁判所(加藤謙一裁判長)は1月30日、中国「残留孤児」国家賠償訴訟に対し、「国に原告らの早期帰国させる法的義務はない」とする判決を言い渡し、原告の請求を棄却しました。

非情な判決、協会は直ちに抗議


 加藤裁判長は、国の植民地政策や戦争政策は高度の政治的判断にもとづくとし、「本来、司法審査の対象ではなく、戦前の国策も例外ではない」として司法判断を回避。これは昨年12月国家賠償責任を認めた神戸地裁判決とは正反対の内容です。
 判決言い渡しの同時刻、東京地裁前には原告、弁護団、協会などの支援組織を含む250人が集まりました。
 緊迫した空気のなか、弁護団が「不当判決」の垂れ幕を掲げ小走りに出てくると、「アー」と驚きと怒りの入り混じった声が広がり、即座に「反対!」「許せない!」など、日本語や中国語で抗議の声がいっせいにあがりました。
 怒りのこぶしを何度もあげる男性、遺影を掲げ泣き崩れる女性など、抗議は1時間にも及びました。
 「血も涙もない」非情な判決に対し、原告団・弁護団は直ちに控訴することを表明。
 日本中国友好協会は同日、「抗議声明」(別項)を発表し、「中国『残留孤児』問題の全面解決」のために引き続き奮闘する決意を明らかにしました。
 神戸地裁での訴訟を全面的に支援してきた協会兵庫県連も声明を発表しました。

「原爆症」原告団、国会議員も連帯

 30日夕刻から東京都内で開かれた判決報告集会には700人以上が参加。
 関東原告団池田澄江代表、鈴木経夫弁護団長、安原幸彦弁護団幹事長らが怒りを込めて判決の不当性と非論理性を報告。
 安原氏は、「これは国民の常識や期待に背く判決。必ずうち破ることができる」と強調しました。
 集会には、自民・公明・民主・共産・社民の各政党の議員が出席し、それぞれ「生活保護」に代わる新しい支援策の確立に努力すると述べ、原告への連帯と激励を表明しました。
 また、同様に政府を相手に裁判を闘っている「原爆症認定訴訟」東京原告団代表の山本英典さんが「同じ戦争の被害者として、ともに政府に謝罪と償いをさせたい」とあいさつしました。
 集会の初めは沈んでいた原告の表情にも、やがて生気が戻り、最後に「勝利まで闘いぬこう」と唱和をくり返しました。
  集会には協会の本部・東京・神奈川・千葉・茨城などから会員、役員ら20人以上が参加しました。

原告が首相、厚労相と面会

 1月31日、原告団が安倍晋三首相と面会しました。首相は、「孤児」たちの長い間の労苦をねぎらったあと「(孤児対策に)不十分なところがあった。(厚生労働)大臣に新たな対応を指示した」と述べました。
 その後面会した柳沢伯夫厚生労働大臣は「民間人や孤児の人たちも入った諮問機関をつくり、夏ごろまでには新しい案を示したい」と述べました。
 原告代表たちは、首相と厚労相に対し「孤児問題の全面解決に全力をあげてほしい」と強く要請しました。
 小野寺利孝全国弁護団代表は「新たな対応の中身は示されなかったが、これから新たな施策を練り上げていくことになると思う。枠組みができたら全国の訴訟の和解決着も考えられる」と述べました。
 原告、支援者らは判決翌日から2月5日まで、首相官邸前、厚生労働省前などで「孤児」問題解決を求めて要請行動を行いました。

[東京地裁判決に関する日本中国友好協会の声明]



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