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日中友好新聞

2007年2月5日号1面
(青海チベット鉄道で映画の舞台へ)

この目で見たココシリの姿
井上とき(日本中国友好協会東京・北支部)

 

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建設途中の不凍泉駅(手前)とココシリの山並
(写真は全て井上さん撮影)

 山岳地帯に棲(す)む野生動物を密猟から命がけで守るパトロール隊を描いた映画「ココシリ」。昨年12月、協会の東京・北支部の上映活動で1600人を超える人びとが協力しました。この映画に魅せられ、上映実現に尽力した井上ときさん(東京・北支部会員)は上映会後の12月中旬、青海チベット鉄道(青蔵鉄道)に乗り、映画の舞台となった場所を見てきました。井上さんのレポートを紹介します。

 

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列車からチベットノロバ(アジアノロバの亜種、国家一級重点保護動物)が見えた

 今年正月の2日に、NHKで青海チベット鉄道の特別番組を放映し、再放送を見た方も含めて大きな関心を呼びました。その列車の通過地点として紹介され、野生動物が画面に出ていたのが、ココシリ(可可西里)自然保護区です。
  私たち東京・北支部が上映に取り組んだ中国映画「ココシリ」は、ここで野生動物の「チベットカモシカ(西蔵羚羊)=チルー」を絶滅から救うため、密猟監視員の自主組織をつくって命がけの活動をした人びとの物語なのです。詳しいストーリーや撮影経過など知りたい方、作品を見たい方はDVDをご購入下さい。

「ココシリ熱」にとりつかれて

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薬として売られているチベットカモシカの角(カシュガルで)

 「もう3年も給料支払いがないけれど、独りで密猟者を監視している」
  テントで暮らしているパトロール隊員に、仲間が殺されたことを告げる隊長。愛する山の中で仲間を偲びつつ踊る隊員たち。その場面は「不凍泉」という地名です。
  「たしかに青蔵鉄道駅にその名前がある。行ってみれば何かわかるはず。ココシリに行く! グレースケール(白黒画像)のような山の風景。映画のあの画面の風景が、冬の今なら見られるはず。少しでもあの場所に近づければいい」
  終映4日後には、上映に関する精算が終わり、「厳寒のチベットなんて観光客はいないだろうし、遊牧民が奥地からも集まってくる巡礼シーズンのはず」と、単独の手探りで行くことを決心。チベット行き列車の切符を手配しました。
  誰も乗っていない車両に、乗客は私だけ。本当に青海チベット鉄道に乗っている自分が、「ウソー、うれしい!」でいっぱい。右往左往でカメラを離さず15時間。映画で見たとおりの風景が続きました。列車の窓が開かないので、ガラス越しに写真を撮影しました。
  実は、写真には撮れませんでしたが、チベットカモシカの雌を数頭見ました。喜びで無我夢中でした(高山病で2回も病院に行くなど、独り旅の「悪戦苦闘談」はまたの機会に)。

チベットカモシカは今

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青海チベット鉄道の食堂車に飾られていたチベットカモシカの置物

 ココシリ自然保護区は、野生動物保護のため人間の立ち入りを禁止した「無人区」とされています。そこに棲(せい)息(そく)するチベットカモシカは、北京オリンピックのマスコットの一つに決まりました。
  NHKの特集では「国家一級保護動物ですが、乱獲によって100万頭から1万頭に激減。密猟監視員制度も国家の支援でつくられ、現在では10万頭まで回復しました」とアナウンスしていました。
  しかし、写真のように、薬や飾り物としてチベットカモシカなどの野生動物が公然と売られているのを各地で目撃しました。
  最近の新聞報道では、相変わらず密猟は続き、監視員も命がけの活動をしています。厳しい自然のもと、粗末な生活条件は微々たる改善のようです。

 ☆DVD『ココシリ』…定価3800円+税、発売・販発=ソニー・ピクチャーズエンタテインメント。書店、CD店、またはインターネットなどで注文できます。



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