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HOME > 私と日本 > 2017年3月25日号

私と日本〈119〉

 

貴州財経大学教授

趙 平 さん

『私の宝物‐泣き虫少年のあの日の中国』を出版

 

 趙平さんは61歳、時代を乗り越えた芯の強さと、節を曲げない信念が小柄な体の全身に感じられる人だ。
 この1月に出版された標記の著書は、彼の歩んだ人生と社会状況をきわめて流暢な日本語で描いた散文集で、中国では日本語を学ぶ学生たちの教科書となっている。
 著書は、生まれ育った中国貴州省での「文革」の嵐の中で、人間性と自分を失わず生きた人びとへの尊敬を惜しみなく示すノンフィクション的記録である。
 10歳のとき「文革」に遭遇、識字階級であった祖父や企業幹部であった父も紅衛兵に批判され、自身も13歳で学校をやめざるをえなくなる。だが、そんななかでも、危険を犯してひそかに英語を身につけた。
 1991年に日本に留学、神戸の大学に在籍して10年を神戸で過ごす。2001年に帰国して現在は貴州省の貴州財形大学、貴州大学教授としてその外国語学院長を務める。
 「中日友好のみならず、すべての友好は交流です。言うまでもなく、政治と絡んだ交流は友好ではなく『企み』です。
 真の友好は必ず草の根から生まれるものです。真心を込め、本音でぶつかることです。建前だけで真心が伴わない交流は、ただの茶番劇に過ぎません。見返りを目的にしないこと。互いの文化を学ぶこと。相手の文化を学習を通じて理解しなければ、交流は深入りできません。奥行きがなく上べだけの交流は砂上の楼閣のようなもので、外からのささやかな揺さぶりだけで崩れてしまいます」。
 培(つちか)った信条こそが先生の「宝もの」である。


(K)


『私の宝物‐泣き虫少年のあの日の中国』(連合出版)1800円+税。

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