日中友好協会(日本中国友好協会)

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公式見解

日中友好協会理事会声明
テロの根絶を求め、報復戦争に反対し、自衛隊の海外派兵と新法の成立を許さない

 今回アメリカで起こされた凶暴な同時多発テロは、一瞬にして無差別大量に人命を奪い、傷つけた。その人間の生命と尊厳にたいする蔑視は、人類社会に対する挑戦である。テロ行為はどのような理由があろうとも、絶対に許されるものではない。とりわけ今回の無謀なテロ行為は、テロのない世界を築くことが21世紀の根本的課題の一つであることを、際立って明らかにした。
 二千万人以上の中国はじめアジア諸国の国民と、三百万人以上の日本人の命を犠牲にした十五年間の日中・アジア太平洋戦争の記憶から、ふたたび戦争を繰り返さないという誓いに立ってアジアと世界の平和を目ざして活動を続けてきた日本中国友好協会は、今回のテロ行為を深い悲しみと憤りをもって、厳しく糾弾する。
 今日必要なことは、国連を中心とした国際協力によって、今回のテロ行為を法的に追及し、対処することである。今回の大規模なテロ行為の指揮者・実行者と目されている人びとや組織がその行為をたたえ、継続を公言していることは、このことをいっそう緊要なものとしている。
 アメリカのブッシュ大統領は、テロに対する「報復」を叫び、国連を中心とした法的解決ではなく、イギリスなど一部の同盟国とともに、アフガニスタンのタリバン政権に対する軍事行動を開始した。これによってアフガニスタンでは無辜の民間人に多くの死傷者が出ていると報道されている。また、アメリカ政府が、アフガニスタン以外に国にたいする軍事行動の可能性をも示唆していることは、国際的にも大きな懸念をよんでいる。
 大きな被害をうけたアメリカ国民のあいだに「報復」を求める心情があることは理解できるが、報復はテロの根絶に役立たないばかりか、あらたな憎悪をうみだす。われわれは、アメリカの報復戦争が、報復とテロのあらたな悪循環を作り出すことを深く憂慮する。テロを憎み、犠牲者を追悼し、「報復戦争」に反対する声は、アメリカはじめ世界の各地にひろがっている。われわれはアメリカが 「報復戦争」を止め、今回のテロ問題の解決が、国連を中心とした国際協調の軌道にそって行われることを求めるものである。
 日本の小泉首相は、アメリカのブッシュ政権に無批判かつ全面的に追随し、自衛隊の派遣など七項目の協力を引き受けたが、これはすべて日本の憲法が禁止している集団的自衛権の行使に他ならない。小泉首相はまた、「ショー・ザ・フラッグ」の要求に応えて、自衛隊の海外派兵の実績を作ろうとしている。さらに小泉内閣と与党三党は、野党の一部も巻き込んで、テロ対策に名を借り、「周辺事態法」を越えて、アメリカの報復戦争に自衛隊をどこまでも参加させる新法と、自衛隊に米軍基地の警備をさせる自衛隊法改悪を一気に成立させようとしている。政府はさらに、国民の基本的人権を制約する有事立法の早期成立にも言及している。
 これらは、憲法に対する最大の挑戦であり、日本国民の反対とともに、中国はじめアジアと世界の諸国民の警戒を引き起こしている。われわれは、こうした憲法蹂躙の企図を許さないために、また、日本の政治を平和な国際協力の方向に転換するために、全力をあげる。
 日本中国友好協会は、自らも参加している六国際団体の共同声明(十月六日)にものべられているように、テロ行為と報復攻撃に反対する声を日本国民と各国国民のあいだに広めていくように尽力するとともに、テロ根絶をめざして、その社会的根源を追究し、世界から膨大な収奪と貧困を追放し、すべての紛争を法と理性によって解決するような国際社会をつくりだすことに努力するものである。

2001年10月14日
日本中国友好協会 第一回理事会


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